博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

「育ち」観からの保育者論

定価: 10,450 (本体 9,500 円+税)
保育者の育ち観を言葉・枠組み・文脈・構えの各側面から検討し、近年の「育ち」概念の意味、言葉からの保育実践研究の可能性、保育者の存在論等について論じる。

【著者略歴】
浜口順子(はまぐち じゅんこ)
1958年 米国に生まれる(幼児期から日本で生活)
1981年 お茶の水女子大学家政学部児童学科卒業
1983年 お茶の水女子大学大学院家政学研究科修了
1983年 オランダ国立ユトレヒト大学教育学研究所留学(オランダ政府給付留学、1985年帰国)
1988年 お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程人間発達学専攻単位取得退学
1996年 十文字学園女子短期大学講師(2002年より同大学助教授)
2005年 人文科学博士(お茶の水女子大学)
2005年 お茶の水大学生活科学部助教授
現在 お茶の水女子大学大学院大学院人間文化創成科学研究科准教授
目次を表示します。
Ⅰ 保育者の存在論と育ち理解の構造
第1章 問題意識
 1.「育ち」と「発達」のコントラスト
 2.「育ち」からの保育者論の可能性
 3.常套的な言葉への気づき
第2章 「保育者」の存在の意味
 1.「保育」「保育者」の暫定的規定
 2.「保育」「保育者」の存在論の必要性
 3.保育者の理解の地平
第3章 育ち理解の構造
 1.「実践中」と「実践前後」
 2.実践前後の育ち観
 3.省察の手立てとしての「言葉」
 4.育ち観の形成にはたらく2つの力
 (1)「かたち」を指向する構え、枠組み
 (2)「からだ」を暗示する文脈、言葉
第4章 本論の目的
 1.保育者の育ち理解の構造
 2.保育実践研究方法と育ち観
第5章 構成、方法、先行研究との関係
 1.実践的保育研究と省察
 2.現象学的方法
 3.解釈学的現象学と意味の理解
 4.教育言説の研究との関係
II 育ち観の諸相
第1章 言葉としての「育ち」
 1.「育ち」という言葉の変化
 (1)「育ち」の用例
 (2)「育ち」の伝統的用法
 (3)「育ち」概念の戦後の変化
 (4)「育ち」の保育的用法
 (5)保育学研究における「育ち」
 2.保育者の「育ち」という言葉への意識
 (1)現場保育者における「育ち」の使用と語感
 (2)「育ち」と「発達」の比較
 (3)空間的・時間的差異による「育ち」の変化
 (4)質問紙調査のまとめ:保育者にとっての「育ち」と「発達」
 (5)「育ち」という言葉に見る育ち観の変化
第2章 枠組みとしての「育ち」
 1.「育ち」観の変化を示唆するもの
 (1)倉橋惣三の「育て」と現代の「育ち」
 (2)発達研究における乳幼児観の変化
 (3)津守真の『発達診断法』と「育つ」こと
 2.幼稚園教育要領における「発達」の枠組み
 (1)保育要領(1948)において
 (2)1989(平成1)年改訂版「幼稚園教育要領」において
 3.「発達」から「育ち」への読み替え
 4.言葉と枠組み
第3章 文脈としての「育ち」
 1.資料から文脈を読み取る
 (1)6つの特質
 (2)文脈の萌芽
 2.文脈の各々の特質
 (1)存在感
 (2)身辺自立の獲得
 (3)能動性
 (4)関係性
 (5)保育者の視点の変化
 (6)保育者の自己意識の変化
 3.文脈の6つの特質の関係性
第4章 構えとしての「育ち」
 1.保育者の生きる時間性
 (1)時間の断続性
 (2)循環する時間と「育ち」の生成
 (3)未完性
 2.育ち育てることの相互性
 (1)育ちの要因の不確定性
 (2)子ども観の変化
 (3)保育者としての個と集団の変化
 3.文脈と構え
III 育ち観からの保育者論へ
第1章 本論のこれまでの素描
第2章 「育ち」と「発達」のコントラスト
 (1)語感
 (2)時間性
 (3)関係性
 (4)契機・ファクター
第3章 「育ち」という視座の実践的意味
 (1)保育者の経験する育ち観のニュアンス
 (2)「育ち」の実感と保育者の幸福感
 (3)「育ち」のあいまいさとジャーゴン化
第4章 保育者の言葉に着目する実践研究の可能性
 (1)異なる枠組みの交差性を生きる保育者
 (2)実践的言葉による保育研究の可能性
 (3)共同的省察をめぐる時間と空間の交差とズレ
第5章 言葉と専門性
第6章 課題

文献
巻末資料
細目次
謝辞
著者浜口順子 著
発行年月日2008年02月29日
頁数384頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1663-8