博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

国語教育実践学の研究

定価: 12,100 (本体 11,000 円+税)
著者長年にわたる国語教育実践の集大成。言語教育の基本理論をふまえ、国語教育実践学の目標・内容・方法論を構築。小学校の事例を基に実践カリキュラムを開発する。

【著者略歴】
有沢俊太郎(ありさわ しゅんたろう)
1947年1月 富山県上市町に生まれる。
1969年3月 東京教育大学教育学部教育学科卒業
1975年5月 東京教育大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学
職歴 東京教育大学教育学部助手、文教大学教育学部講師、富山大学教育学部助教授を経て、1983年4月、上越教育大学に着任。1992年7月、上越教育大学教授、現在に至る。学内では評議員、学部主事、附属中学校長、兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科 副研究科長を務めた。
博士(教育学)

研究業績
『明治前中期における日本的レトリックの展開過程に関する研究』(1998年、風間書房)など
目次を表示します。
まえがき
序章 国語教育実践学の構想
 第1節 国語教育実践学の目的と領域
 第2節 国語教育実践学の方法-理論知と実践知の問題
第Ⅰ部 国語教育実践学の基底
第1章 言語教育実践学原理
 はじめに
 第1節 言語表現と主体
   1 話者・表現・主体
   2 考える主体・語る主体
   3 「語る主体」の性格
   4 言語表現を見る眼
 第2節 「言語学習の三角形」モデル
   1 J.R.ファースの「タクト」(Tact)について
   2 言語学習の基本的視点
   3 「言語学習の三角形」モデル-言語学習における場面の設定と深化
   (1)学習場面-三角形の基本的な性格
   (2)言語学習の過程
   4 実践のために
 第3節 「言語学習の三角形」再論-M.A.K.ハリデーの言語機能モデルを視野に入れて
   1 二つの三角形の違いについて
   2 学習者の新生から見た言語機能モデルについて
   (1)レリバント・モデル
   (2)テクスト的機能(モード)
   3 七モデル・一モードの三角形への組み込み
   4 「レリバント」の意味
第2章 イギリスの言語教育の実地研究
  はじめに
  第1節 トピック学習の観察
   1 C.ハワードの実践「収穫」
   2 目標(トピック学習の原理)
   3 学習内容・方法
    (1)学習内容の分節(枝分かれ図)
    (2)スキーム・統合法
    (3)実の本・シェアリーディング
  第2節 15年後-UKRA大会(2000年7月21日~23日)
   1 目標に関する分科会
   2 内容・方法に関する分科会
第II部 国語教育実践学の構築
第1章 国語教育実践学目標論-上田万年によるS.S.ローリー理解を手掛かりに
はじめに(問題の所在と方法)
  第1節 「社会的・個人的」要因-上田のローリー理解と「ひびき」の様相①
  第2節 「内容的(実質的)・形式的」要因-上田のローリー理解と「ひびき」の様相②
  第3節 〈学習者〉の側(要因(3))からの一元的目標の可能性-トピックス く林檎〉の授業
  第4節 残された課題
第2章 国語教育実践学内容論
  はじめに
  第1節 トピックス〈色〉-「小さな青い馬」の色彩語
   1 問題の所在
   2 色彩語「青」について
   3 主題との関係
  第2節 トピックス 〈かたち(子どものこころ)1〉-「エミールと探偵たち」の主人公
   1 作者(訳者)と作品
   2 エミールという少年
   3 子どもの読者のために
  第3節 トピックス 〈かたち(子どものこころ)2〉-「あんず林のどろぼう」の赤んぼう
   1 書誌
   2 指導目標
   3 指導内容・方法
   (1)文章構成
   (2)文章表現の特質
   (3)重要語句・キーセンテンス
   (4)基本的発問・課題
   (5)授業展開への示唆
  第4節 トピックス 〈風土〉―杉文学における風土
   1 作家と風土
   2 光(「加代の四季」の秋より)
   3 風(「風と少女」より)
   4 雪(「雪の一本道」より)
   5 授業展開例
   (1)附属小学校の授業(平成1年1~2月)から
   (2)新井中学校の授業(平成12年2~3月)から
  第5節 トピックス〈戦争〉ー「ヒロシマの歌」の文章
   1 はじめに
   2 経験・言語・表現作用―書くということ
   3 「ヒロシマの歌」の文章
   4 文学教材として
  第6節 トピックス〈孤独〉―金子みすゞの「さびしい」について
  1 考察の時期と対象
  2 「孤独」(「さびしい」)系の詩七編
  3 教材として
3章 国語教育実践学方法論―教授・学習コンテクストの創造
はじめに
第1節 国語科導入の課題
  1 資料について
  2 導入部のメディア
  3 導入部で何をするか
  (1)学習内容への切り込み方
  (2)学習の見通しの理解、方法の習得
  4 平成17年度初等教育実習から(一年生の発したことば)
第2節 読み方教育類型論
  1 視点の設定(はじめに)
  2 「リーディング」の移植
  3 伝統的な読みの検討
  4 「リーディング」の行方
  5 伝統について
第3節 教育的音読論(1)―理論的考察
  1 問題の所在
  2 音読のプロセスの研究-K.S.グッドマンとR.コンラッド
  (1)視覚コード・発声コード
  (2)聴覚コード
  3 教育的音読論の構想
  4 結論
第4節 教育的音読論(2)-西郷視点論による教育的音読の実際
  1 西郷視点論について
  (1)「ポイント・オブ・ビュー」と「視点」
  (2)「大きな白樺」の読みに即して
  (3)西郷視点モデルの価値
  2 教室での可能性
  (1)課題
  (2)〈内の目〉と〈外の目〉との間-「モチモチの木」の読みに即して
  (3)作者の問題
第5節 教授学習方法・形態論(1)-ペアワーク
  1 ペアトークの授業実践
  2 CC(コミュニカティヴ・コンピタンス)とペアトーク
  3 三時間目の授業(留学生との交歓会)
  4 ペアトークの課題
  (1)白石寿文氏の質問と意見
  (2)ペアトークとは
第6節 教授学習方法・形態論(2)-シェアワーク
  1 話し合いを生み出すTT(ティーム・ティーチング)の授業
  (1)国語科とTT
  (2)学習材産出型TT-「ウォーッ」の解釈
  (3)「話し合う(聞き合う)」とは
   ※参考資料
  2 劇化におけるシェアワーク-即興劇について
  (1)即興劇導入の背景(1960~70年代のイギリス)
  (2)即興劇づくりにおけるシェアワーク

III部 国語教育実践学の展開
1章 言語(国語)カリキュラムの基本思想
はじめに
第1節 オープン枠・セパレート(クローズ)枠(目的・目標について)
第2節 内容の性格一方法との二重性(内容・方法について)
2章 読書カリキュラムの構築と展開-新潟県浦川原村立下保倉小学校における実践モデル
はじめに
第1節 読書カリキュラム・モデル構築の基盤
  1 下保倉小学校の研究の概観(平成7年11月まで)
  2 読書カリキュラム・モデルの構築
  (1)コアとしての「読書」(Reading as a Core)
  (2)カリキュラムを横断する読書(Reading across the Curriculum)
  (3)カリキュラムを取り巻く読書(Reading around the Curriculum)
  (4)カリキュラムを縦断する読書(Reading through the Curriculum)
  3 中間まとめ
第2節 展開期における校内研究授業の検討
  1 承前
  2 校内研究授業の検討
  (1)「アラウンド」領域における娯楽的読書についての実践
  (2)理科と「アクロス」させた機能的読書に関する実践
  (3)「スルー」の観点の入った新機能的読書の実践
  3 総括
  4 おわりに
  ※下保倉小学校校内研究授業関連資料
章 まとめと課題
考文献目録
とがき
項・人名索引
著者有沢俊太郎 著
発行年月日2008年01月27日
頁数354頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1650-8