魔女裁判といじめの文化史
いじめ問題の歴史的・構造的研究
定価:
8,800
円(本体
8,000
円+税)
- 目次を表示します。
-
はしがき
序章
第1節 本研究の目的と方法
第2節 本論文の構成
第1章 魔術・呪術の世界
はじめに
第1節 魔術の始まり
1.魔術の形成
2.魔術の神秘
第2節 呪術観
1.呪術師の成立と古典古代の呪術の様相
(1)呪術師
(2)古典古代の呪術
2.呪術の原理と日常生活
(1)類感呪術あるいは模倣呪術
(2)感染呪術
(3)日常生活の呪術
おわりに
第2章 中世ヨーロッパにおける異端者たち
はじめに
第1節 神判
1.神判の特性
(1)ヨーロッパの神判における類型
(2)その他の国の神判
2.神判の役割
(1)黒白をつける
(2)秩序や正義観
(3)宣誓形式の正しさ
3.わが国の神判
(1)一般の神判のいわれ
(2)近世農村部の村落の神判
4.民衆にとっての神判
5.神判におけるいじめの構造
第2節 異端者の成立
1.革新運動と十字軍
2.異端審問制の成立
3.異端審問所の役割
4.魔女裁判の確立
5.『ベナンダンティ』と『薔薇の名前』から見た異端者
(1)『ベナンダンティ』からみた異端審問
(2)『薔薇の名前』からとらえた異端弾圧
第3節 魔女とされた人の社会的背景
1.社会的状況
(1)結婚ステータス
(2)経済的ステータス
2.魔女像
(1)性別
(2)魔女への道
(3)産婆
(4)魔女は高齢者
(5)魔女の性質
おわりに
第3章 中世ヨーロッパにおける下からつき上げられた魔女
はじめに
第1節 害悪魔術の様相
1.牛乳を盗む魔術
2.病気をもたらす魔術
3.嵐・雹・雷を起こす魔術
第2節 地域社会の魔女狩り
1.人々の疑惑
(1)呪術師への相談
(2)噂を伝える
(3)名誉の感情と当時の人間関係
2.下からの衝動
(1)魔女狩り委員会
(2)自白の強要
おわりに
第4章 歴史的いじめの構造
はじめに
第1節 中世ヨーロッパにおける自然界の様相
1.中世の森
(1)森の変遷
(2)森の生活
(3)森の要素
2.想像の森
(1)ゲルマン人と森
(2)メルヘンの中の森
3.中世ヨーロッパの都市化と自然界における異人
第2節 二つのタイプの魔女
第3節 中世ヨーロッパにおける歴史的いじめ(異端審問・魔女裁判)の構造
1.上から一方的に押さえつけられた異端者と現代のいじめによる子どもの比較
2.下からつき上げられた魔女と現代のいじめによる子どもの比較
おわりに
第5章 現代におけるいじめの定義と背景
はじめに
第1節 いじめ取り組み先進国の概況
1.ノルウェー・イギリス・アメリカの取り組み
2.日本における取り組み
第2節 いじめ定義の多様性
1.いじめ被害者への苦痛の存在
2.長期間にわたる差別的集合現象
3.優位性、意識的行為の持続性、人権侵害行為
4.指導性への視野
5.学校暴力現象としてのいじめ
6.相手の苦痛への快感を抱く行為
第3節 いじめ問題の要因
1.基本的要因としての家庭・学校・社会
2.学校ストレスの影響
3.私事化との関連
おわりに
第6章 いじめ構造と構成要因の特徴
はじめに
第1節 いじめ構造としての四層
第2節 いじめっ子・いじめられっ子の特徴
1.いじめっ子のタイプ
2.いじめっ子の心理
3.いじめられっ子のタイプ
第3節 傍観者と観衆の位置
おわりに
第7章 アメリカにおけるいじめの様相と克服策
はじめに
第1節 いじめ行為の形態と発生状況
第2節 いじめっ子・いじめられっ子と攻撃性
1.いじめっ子(Bullies)の特性と攻撃性
2.いじめられっ子(Victims)の特性と挑発
第3節 いじめ様相に対する意識差と克服策
1.生徒・教職員の意識の差異
(1)8学年生徒の意識
(2)校長、教員、カウンセラーの意識
(3)いじめられた経験の有無に基づくスタッフの意識の差異
(4)バロンの調査研究から得られた知見
2.克服策―ペンシルバニア州全学区を例に―
3.具体的実践例
おわりに
第8章 いじめにおける歴史的変質プロセスの構造
はじめに
第1節 いじめの出現
第2節 いじめの合理化
第3節 いじめの合理化への展開
第4節 いじめの終息への期待
1.キリスト教の指導性と非合理
2.啓蒙思想による魔女裁判終焉
3.いじめへの予防的対応とトレランス
4.魔女裁判からの現代のいじめ問題への示唆
引用文献一覧
刊行に寄せて 上山安敏
謝辞
索引