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スウェーデンにおける統一学校構想と補助学級改革の研究

定価: 15,950 (本体 14,500 円+税)
スウェーデンの個のニーズに応じた教育の起源を探るため、統一学校創出をめざした通常教育改革と分離的教育措置としての補助学級の成立・展開・解消の過程を分析。

【著者略歴】
是永かな子(これなが かなこ)
1973年 大分県日出町生まれ
1992年 東京学芸大学教育学部障害児教育教員養成課程入学
1994年7月~1995年3月 スウェーデン国立ルンド大学マルメ教育学部留学
1997年 東京学芸学教育学部障害児教育教員養成課程卒業
1999年 同大学大学院教育学研究科修士課程障害児教育専攻修了(教育学修士)
2000年1月~2002年3月 日本学術振興会DC2特別研究員
2002年 同大学大学院連合学校教育学研究科学校教育学専攻発達支援講座修了 博士(教育学)
2002年4月~2004年3月 日本学術振興会PD特別研究員
2004年4月 高知大学教育学部学校教育教員養成課程障害児教育コース講師、助教授
現在に至る
目次を表示します。
序章
 1.問題の所在
 2.先行研究の検討
  2.1 社民党の福祉国家建設と教育改革
  2.2 統一学校改革と補助学級の再編・統合
 3.研究の課題と視点
  3.1 研究の課題
  3.2 研究の仮説
  3.3 分析の視点
  3.4 分析の史・資料    
 4.用語の定義
第1章 世紀転換期における学業不振児問題の顕在化と補助学級の成立
 はじめに
 1.義務教育制度成立の社会的背景と国民教育令
 2.国民学校制度の整備と子どもの就学状況
  2.1 就学奨励策と複線型学校体系の始まり
  2.2 就学実態
 3.国民学校制度の普及と学業不振問題の顕在化
  3.1 1878年国民学校標準プランの制定
  3.2 1882年の国民学校令と1889年標準プランの改訂
  3.3 1897年の国民学校令改定と「最低限の課程」の廃止
 4.国民学校における分化問題と補助学級の成立
  4.1 補助学級の成立
  4.2 ヴィスヴィ市の補助学級
  4.3 カールスタッド市の補助学級
  4.4 ストックホルム市の補助学級
 5.国民学校におけるマンハイムシステム導入議論
おわりに
第2章 19世紀中葉のイェーテボリ市における学業不振児問題と分離的措置
 はじめに
 1.19世紀イェーテボリ市の社会状況の検討
 2.イェーテボリ市における教育の普及と学業不振問題の顕在化
 3.イェーテボリ市における多様な分離的措置の成立
 4.分離的措置としての分離学級の機能とその位置づけ
 おわりに
第3章 イェーテボリ市における学業不振問題と分離学級の設置
 はじめに
 1.イェーテボリ市における分離的教育措置をめぐる議論の展開
 2.分離学級の成績評価表の分析結果
  2.1 分離学級からの子どもの移行および卒業の状況
  2.2 分離学級の学級編成と学級規模
  2.3 分離学級在籍児の進級・卒業の状況
  2.4 分離学級における成績評価や留年および進級
  2.5 分離学級における特別な対応
 3.イェーテボリ市における中間学級の展開
 おわりに
第4章 19世紀後半のノルシェーピング市における学業不振児問題と補助学級の成立
 はじめに
 1.19世紀後半のノルシェーピング市の都市化・産業化と社会問題
 2.ノルシェーピング市の国民学校の実態と子どもの就学状況
 3.ノルシェーピング市における補助学級の成立
  3.1 補助学級=「セーデルベリィ学級」の設立経緯
  3.2 補助学級=「セーデルベリィ学級」の特徴
 おわりに 
第5章 スウェーデン最初の補助学級「セーデルベリィ学級」と学業不振児教育の実際
 はじめに
 1.ノルシェーピング市における補助学級の成立とその実態
 2.セーデルベリィ学級在籍児の実際
  2.1 セーデルベリィ学級在籍児の就学状況
  2.2 セーデルベリィ学級在籍児の成績変化と進級・卒業の状況
  2.3 セーデルベリィ学級の保護的機能
 おわりに 
第6章 1920年代の国民学校改革と補助学級の分化
 はじめに
 1.統一学校要求の萌芽と補助学級の展開
 2.複線型学校体系下の国民学校の実態と課題
 3.複線型学校体系の再編と統一学校構想
  3.1 社民党の国民学校改革と「基底学校」構想
  3.2 「基底学校」構想の挫折
 4.統一学校改革と補助学級の動向
  4.1 国民学校改革と補助学級の役割
  4.2 「基底学校」構想の挫折と補助学級の分化
 おわりに 
第7章 1930年代の統一学校構想の萌芽と補助学級制度の拡充
 はじめに
 1.1930年代の国民学校の実態と課題
 2.国民学校教員連盟の統一学校構想と補助学級をめぐる議論
  2.1 国民学校改革における統一学校構想の形成過程
  2.2 国民学校改革と補助学級制度の拡充
 3.社民党の社会・教育政策と統一学校構想
  3.1 社民党の社会政策
  3.2 社民党の「国民の家」理念とSAFの統一学校構想の統合
 おわりに 
第8章 1940年代の福祉国家政策と社会的教育
 はじめに
 1.1940年代の福祉国家形成
  1.1 社民党による新たな社会構想の提起
  1.2 社会政策の展開
 2.福祉国家における社会的教育
  2.1 社会的教育に基づいた新たな学校
  2.2 社会的教育と統一学校構想
  2.3 教育における貧困ケア
  2.4 学校における健康・衛生ケア
 3.社会的教育における補助学級と特別教授の位置づけ
 おわりに
第9章 1940年代の統一学校構想の具体化と補助学級の機能
 はじめに
 1.1940年学校検討委員会と統一学校構想の対立
  1.1 国民学校vs.中等学校
  1.2 子どもの「早期分化」をめぐる対立
  1.3 統一学校構想と補助学級の機能
  1.4 統一学校構想の分立と1940年委員会の終焉
 2.1946年学校委員会と実験統一学校の試行決定
  2.1 統一学校推進派の優位
  2.2 教育の個別化と分化的教育機能としての補助学級
  2.3 統一学校案の具体化と実験統一学校の試行決定
 おわりに
第10章 1950年代前半の実験統一学校の試行と補助学級の転換
 はじめに
 1.実験統一学校の試行決定に至る経緯
  1.1 1946年委員会と学校中央管理局による試行の導入
  1.2 試行の国会提案と各党の主張
 2.実験統一学校の試行
  2.1 実験統一学校の試行の全国的展開
  2.2 試行部と実験統一学校の促進活動
  2.3 実験統一学校と「一体化した指導」の試み
  2.4 教育プランの制定と1957年委員会の設置
 3.実験統一学校における学業不振児問題と補助学級
  3.1 低学年における学校成熟問題
  3.2 中学年における子どもの差異・格差への対応
  3.3 高学年におけるライン分化制問題
  3.4 補助学級の役割の転換
 おわりに 
第11章 1962年の基礎学校創出と補助学級の統合
 はじめに 
 1.1957年委員会における統一学校創出の議論
  1.1 実験統一学校の試行の展開
  1.2 1957年委員会の設置と統一学校をめぐる各党の主張
  1.3 統一学校の分化問題をめぐる調査・研究
  1.4 統一学校への補助学級の統合
 2.1960年ヴィスヴィの合意と9年制統一学校の成立
 3.基礎学校と補助学級改革論
  3.1 統一学校への補助学級の統合と補助学校連盟の主張
  3.2 統一学校における補助学級の独自性の維持
  3.3 基礎学校学習指導要領における補助教授と特別教授の位置づけ
 4.補助学校連盟から特別教育連盟へ
 おわりに 
第12章 1960年代の基礎学校における教育の個別化と特別教授の機能
 はじめに 
 1.基礎学校の整備と確立
  1.1 基礎学校の組織と分化問題
  1.2 基礎学校の予算拡大と学級規模の縮小
  1.3 基礎学校における特別教授の規定
  1.4 基礎学校の教育課程
  1.5 特別教授の教育課程
  1.6 基礎学校の教員養成
 2.基礎学校における実践と課題
  2.1 教育研究プロジェクトの設置
  2.2 国立リンシェーピング実験統一学校での実践研究
  2.3 教育の「個別化」の議論
  2.4 「個別化」と特別教授の相関
  2.5 特別教授=「通常学級から排除」の偏見克服へ
  2.6 基礎学校における多様な特別学級の確立
 3.基礎学校における問題の顕在化とその対応
  3.1 ライン選択の偏在
  3.2 ライン分化により引き起こされた問題
  3.3 学習指導要領の改訂
  3.4 特別教授の資源不足と「一体化した教育」としての課題
  3.5 特別教授をめぐる学校現場の声
 4.より「統一的」な基礎学校への転換
  4.1 基礎学校組織の改編
  4.2 基礎学校のタイムプランとコースプラン
  4.3 学校令における特別教授規定
  4.4 分化的教育措置から個に応じた教育の保障へ
  4.5 特別教員養成課程の充実
 おわりに
終章 全体的考察ー総括と展望ー
 1.研究の総括
 2.今後の課題と展望
文献
年表
あとがき
著者是永かな子 著
発行年月日2007年02月28日
頁数432頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1617-1