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近代ドイツ語圏の学校音楽教育と合唱運動

19世紀前半のスイスにおけるH.G.ネーゲリの思想とその活動を中心として

定価: 12,650 (本体 11,500 円+税)
19世紀前半のドイツ語圏におけるペスタロッチ主義による学校音楽教育の改革と合唱運動の発展を、スイスのH.G.ネーゲリとの関係において考察した独創的研究。

【著者略歴】
関口博子(せきぐち ひろこ)
1966年 埼玉県に生まれる
1989年 国立音楽大学音楽学部教育音楽学科教育音楽専攻第Ⅰ類卒業
1991年 国立音楽大学大学院音楽研究科(修士課程)音楽教育学専攻修了
1992年 チューリッヒ大学(スイス)に留学(1992~93年度ロータリー財団奨学生)
1998年 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科(博士課程)学校教育学専攻教育構造論講座入学(2002年 単位取得満期退学)
2000年 長野県短期大学幼児教育学科助手(~2005年)
2004年 学位取得 博士(芸術文化学)・大阪芸術大学
2005年 同朋大学社会福祉学部助教授(現在に至る)
目次を表示します。
序論 本研究の課題と方法
 1.研究史の展望
 2.課題の設定

本論 第1部 ペスタロッチ主義による学校音楽教育の改革
第1章 ペスタロッチ主義音楽教育の成立
第1節 ペスタロッチと音楽教育
 1.ペスタロッチの音楽観と音楽教育観
 2.ペスタロッチの学園における唱歌活動と唱歌教育
第2節 イヴェルドンの学園で編集された『歌集』(1811)とペスタロッチ
 1.『歌集』の構成と所収曲の特徴
 2.『歌集』の歌詞の傾向と楽曲形態の特徴 
 3.『歌集』にみるペスタロッチの教育観
第3節 ペスタロッチ主義音楽教育成立の前提
 1.1800年頃の学校における唱歌教育
 2.プファイファーの音楽観・音楽教育観と唱歌教育の実践
 3.ネーゲリの音楽観と音楽教育観
第4節 ネーゲリ/プファイファー『ペスタロッチの原理による唱歌教育論』(1810)の成立とその特徴
 1.『唱歌教育論』の成立と基礎課程の特徴
 2.ネーゲリ作曲による唱歌集の特徴 
第5節 ペスタロッチ主義音楽教育の特質
 1.『唱歌教育論』におけるペスタロッチのメトーデとプファイファー,ネーゲリ
 2.ネーゲリとペスタロッチの音楽観・音楽教育観の関連性
註 
第2章 ドイツにおけるペスタロッチ主義による学校音楽教育の改革
第1節 プロイセン教育改革の始動とツェラーの活動
 1.改革の始動と音楽教育
 2.ツェラーの音楽教育活動
第2節 ナトルプのペスタロッチ主義による学校音楽教育の改革
 1.学校教師に対する唱歌講習会の実施
 2.『唱歌指導の手引き』(1813/1820)の作成とその特徴
第3節 ナトルプのペスタロッチ主義による学校音楽教育改革の特質
 1.ナトルプとペスタロッチならびにネーゲリ/プファイファーとの関係
 2.ナトルプによる『唱歌教育論』の方法簡略化とその理由
 3.ナトルプによる学校音楽教育改革の特質
第4節 ドイツにおけるペスタロッチ主義による学校音楽教育改革の背景とその特質
 1.プロイセン教育改革との関わり
 2.ドイツにおけるペスタロッチ主義による学校音楽教育改革の影響とその特質

第3章 カントン・チューリッヒにおけるペスタロッチ主義によるネーゲリの学校音楽教育改革
第1節 1810~20年代のネーゲリの音楽教育活動とスイス音楽教育の状況
 1.ネーゲリによる『唱歌教育論の抜粋』(1812)とその特徴 
 2.1810~20年代のスイス音楽教育の状況 
 3.『音楽掛図』(1828)と改革への胎動 
第2節 カントン・チューリッヒの教育改革とネーゲリ
 1.『教育請願書』(1831)にみるネーゲリの教育改革構想 
 2.新教育法の制定とネーゲリ
第3節 『学校唱歌集』(1833)の内容分析
 1.『学校唱歌集』の編纂とその構成
 2.『学校唱歌集』所収の3種類の歌の特徴
 3.『学校唱歌集』第1部(100曲のフィグラール唱歌)の分析
第4節 ネーゲリによるカントン・チューリッヒの学校音楽教育改革の特質
 1.カントン・チューリッヒの学校への『音楽掛図』『学校唱歌集』の導入
 2.カントン・チューリッヒの学校に導入された2つの教材の特質
 3.カントン・チューリッヒにおける学校音楽教育の改革とドイツとの関係
 4.カントン・チューリッヒの学校音楽教育改革の特質とその背景

本論 第2部 合唱運動の発展とネーゲリ
第4章 19世紀前期ドイツにおける合唱運動
第1節 19世紀初頭までのドイツの音楽状況
 1.アマチュア・オーケストラの活動
 2.歌唱活動と音楽教育
第2節 ベルリン・ジングアカデミーにおけるツェルターの合唱活動とその影響
第3節 リーダーターフェルにおけるツェルターの合唱活動とドイツの男声合唱運動との関係
 1.リーダーターフェルにおけるツェルターの男声合唱の活動
 2.ドイツの男声合唱運動とツェルターとの関係

第5章 ネーゲリの合唱観と合唱活動
第1節 18世紀後半のスイスの音楽状況
 1.シュミットリン『スイスの歌』(1769)とその特徴
 2.ネーゲリの初期の音楽活動 
第2節 「チューリッヒ歌唱協会」におけるネーゲリの合唱活動
 1.「チューリッヒ歌唱協会」の設立とその初期の活動
 2.『トイトーニア』(1807一?)とその特徴
 3.「チューリッヒ歌唱協会」の目標とその発展
第3節 ネーゲリの合唱教育論とその方法の特質
   ―合唱のための2つの教本の分析を通して―
 1.合唱のための2つの教本と『唱歌教育論』との関係
 2.合唱のための2つの教本の概要
 3.『男声合唱のための歌唱教本』所収の合唱曲の分析
 4.合唱のための2つの教本所収の合唱曲の特徴
 5.合唱のための2つの教本からみたネーゲリの合唱教育論とその方法の特質

第6章 スイスにおける男声合唱運動の発展とネーゲリ
第1節 「チューリッヒ市合唱協会」の設立とその活動
 1.「チューリッヒ市合唱協会」の設立
 2.「チューリッヒ市合唱協会」の演奏活動
第2節 スイスにおける男声合唱運動の展開
第3節 スイスにおける男声合唱運動発展の社会的コンテクスト
 1.男声合唱運動発展の音楽的・社会的背景
 2.当時よく歌われた男声合唱曲の傾向
 3.スイスの男声合唱運動と愛国運動との関係
第4節 スイスの男声合唱運動とネーゲリとの関係
 1.スイスの男声合唱運動に与えたネーゲリの影響と彼の合唱活動との関係
 2.1820年代後半以降のネーゲリの女声合唱と混声合唱の活動

結論 19世紀前半のドイツ語圏における学校音楽教育の改革および合唱運動とネーゲリ
 1.ネーゲリの思想と活動における学校音楽教育と合唱との関係
 2.学校音楽教育の改革および男声合唱運動の発展と社会的コンテクストとの関係
 3.学校音楽教育の改革および男声合唱運動の発展とネーゲリとの関係
 4.ネーゲリの思想と活動の歴史的意味と今日的意義

資料・文献
初出誌一覧
おわりに
著者関口博子 著
発行年月日2007年02月15日
頁数330頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1599-0