シュライエルマッハーの思想と教育学
キリスト教的有機体的思想を中心に
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序章
第1節 研究の課題
科学的教育学の発展
教育における有限と無限
人間の全体生活とキリスト教的世界観
第2節 先行研究と本研究の意義
全体的体系的研究の必要性
ドイツにおけるシュライエルマッハー教育学の研究
わが国におけるシュライエルマッハー教育学の研究
第3節 本研究の視座と構成
本研究の視座の成立
キリスト教的有機体的思想(神の摂理ないしは神的秩序)
学問体系における教育学の位置
本研究の構成
第1部 シュライエルマッハーの思想
第1章 シュライエルマッハーの生涯
―その思想的背景、課題との取り組みについて―
第1節 青年期の思想形成
宗教家としての生い立ち
個性と社会性
第2節 ロマン主義と古典研究
ロマン主義とシュライエルマッハーとの関係
古代ギリシア哲学(特にプラトン研究)と解釈学、文献学
第3節 学問の体系
学問体系の形成
倫理学と弁証法
第4節 実践活動
教育活動
宗教活動
愛国活動
第2章 シュライエルマッハーの個性論
―『宗教論』、『独白録』を中心に―
第1節 シュライエルマッハーの個性論の形成要因
形成的倫理学の萌芽
人間性と個性の萌芽
過去の諸体系の理解と批判
第2節 宗教論における個性論
『独白録』と『宗教論』の共通性と相違
宗教的直観:宇宙における調和と個性
高次の実在論
第3節 独白録(自己直観)における個性論
独白録の成立
神の器官、象徴としての個性
独白録の影響
第3章 シュライエルマッハーの『弁証法』における超越的根拠
―教育学のメタ理論の基礎的研究―
第1節 『弁証法』の課題
弁証法の定義
知識の漸次的解明
存在への思考の関係
第2節 知識の超越的根拠の探究
思考の三形式とその前提
概念と判断との関係での超越的根拠の探究
思考と意欲との関係での超越的根拠の探究
第3節 直接的自己意識における超越的根拠
感情における主客対立の排除
直接的自己意識における知識の超越的根拠
図式としての超越的根拠
第4節 神と世界との関係
神と世界との関係の消極的規定
神の理念と世界の理念との類似性と相関関係
宗教的感情としての直接的自己意識=感情
第5節 知識の生産と結合
弁証法の形式的部門の課題
概念構成と判断構成とによる知識の生産
発見的方法と構築的方法とによる知識の結合
第4章 シュライエルマッハーの倫理学
―シュライエルマッハーにおける最高善論―
第1節 シュライエルマッハーの倫理学の課題
シュライエルマッハーの倫理学の発展過程
批判を通しての課題発見
シュライエルマッハーの倫理学の課題
第2節 シュライエルマッハーの最高善論
自然法則と道徳法則
学問の体系と倫理学の体系的演繹
最高善論の構成
第5章 シュライエルマッハーの心理学の課題と方法
第1節 シュライエルマッハーの心理学の評価
シュライエルマッハーの心理学講義の成立
ディルタイ
アルント
プレーガー
第2節 シュライエルマッハーの心理学の性格
心理学の対象としての心
心の認識:経験的心理学と思弁的心理学
学問体系における心理学
第3節 心理学の展開
心身の同一性からの展開
類の意識(人間の本性の同一性)と個々の心の差異
心の取り扱いとその分類の方法
第6章 シュライエルマッハーのキリスト教的倫理
第1節 『キリスト教的倫理』の体系的前提
『キリスト教的倫理』の成立とその解釈の歴史
哲学的倫理学とキリスト教的倫理
信仰論とキリスト教的倫理
第2節 キリスト教的倫理の構成
キリスト教的倫理の課題
キリスト教的行為の形式
キリスト教的行為の原理
第7章 シュライエルマッハーの解釈学
―理解の技能としての解釈学について―
第1節 現代におけるシュライエルマッハーの解釈学の評価
ビールス
ショルツ
第2節 シュライエルマッハーの解釈学の課題
解釈学へのシュライエルマッハーの関心
ヴォルフの解釈学研究
アストの解釈学研究
第3節 理解の技能および学問としての解釈学
技能としての解釈学
シュライエルマッハーの解釈学の課題と構想
未完成の解釈学の体系化
第4節 文法的解釈
解釈学の2つの規準
形式的要素と実質的要素
主要思想と副次思想
第5節 心理学的解釈
心理学的解釈の課題
特に心理学的課題
特に技能的課題
第8章 シュライエルマッハーの「批評」の概念
―彼の解釈学との関係における「批評」の概念について―
第1節 シュライエルマッハーの「批評」に対する評価
ディルタイ
ガダマー
ビールスの反論
第2節 解釈学と批評
シュライエルマッハーの学問体系における「批評」の概念
解釈学と批評との結合
「文献学的批評の概念と区分」における「批評」
第3節 「批評」についてのシュライエルマッハーの構想
『解釈学と批評』における「批評」の概念
機械的誤謬の批評
自由な行為から生じた誤謬の批評
第2部 シュライエルマッハーの教育学
第1章 シュライエルマッハーの科学的教育学の構想
―シュライエルマッハーの弁証法的教育学―
第1節 教育学における弁証法的性格
弁証法的思考の必然性
技能論としての教育学―理論と実践―
思弁的知識と経験的知識
第2節 歴史的・文化的倫理学
倫理学の構想―ヘルバルトとの相違―
広義の倫理学
広義の倫理学の問題
第3節 教育理論の有効性
教育課題の規定―教育理論の普遍妥当性の否定―
現存の倫理的見解に従う教育理論
普遍妥当的教育学の可能性―特殊に内在する一般―
第4節 シュライエルマッハーにおける教育学の科学性の問題
保持と改善との弁証法の問題
助成と抑制との弁証法の問題
保守的改良主義の問題
第2章 シュライエルマッハーにおける倫理学と教育目的
第1節 最高善(倫理学)と善の理念(教育学)との対応
教育理論と最高善論との関連
教育理論の経験的基盤
普遍的な善の理念の希望
第2節 最高善論と教育課題との関連
教育目的の第1規定:普遍的課題
教育目的の第2規定:個人的課題
第3節 教育における平等の問題―最高善論との関連―
性差
身分・人格の平等
第3章 シュライエルマッハーの教育学のキリスト教的性格
―彼のキリスト教的倫理と教育学との比較的考察―
第1節 キリスト教的倫理の根本原理
個性の根拠としてのキリスト教的有機体的世界観
共同を前提とする普及的過程
同胞愛に基づく平等
第2節 教会改革におけるイデオロギー批判
すべての信者の原理的平等と公共性
僧侶の高慢
自由な道徳的主体に基づく共同の真理追求
第3節 シュライエルマッハーの教育学の根本理念
教育の現実問題としての人間の平等と不平等
教育可能性と独自性の区別(クラフキーの解釈)
社会的個性の概念(ヴィンクラーの解釈)
自律的人間の育成と学校教育
第4章 シュライエルマッハーの陶冶理論
第1節 近代陶冶理論の課題
陶冶概念の生成と発展
近代陶冶理論の課題とシュライエルマッハー
第2節 シュライエルマッハーの陶冶理論の倫理学的基礎
自然と理性との合一
個性と普遍性
人間の陶冶過程
第3節 個性的陶冶と一般的陶冶
生活および教育の現実からの出発
個性的陶冶
一般的陶冶
第4節 陶冶の方法
乳幼児期
少年期
第5章 情操教育における愛と権威
―シュライエルマッハーの倫理学と教育学との関係において―
第1節 シュライエルマッハーの倫理学における愛と権威
徳論における愛
道徳法則における尊敬
第2節 情操の助成における愛と権威
情操への働きかけ
各発達段階における情操教育
第3節 抑制活動における愛と権威
抑制活動の分類
共同社会生活に対する抑制活動の関係
各発達段階における抑制活動
第6章 シュライエルマッハーのキリスト教的訓育論
―説教における「神の摂理」を中心に―
第1節 宗教、哲学、道徳および教育の関係
宗教、哲学、道徳の区別
宗教の本質
シュライエルマッハーの著作における三者の関係
第2節 キリスト教的世界観
神の概念
キリスト観
神の摂理(神的秩序)に基づく結婚観・職業観
第3節 キリスト教的訓育
宗教教育の可能性
神の摂理(神的秩序)に基づくキリスト教的訓育
終章 シュライエルマッハーの思想の教育的意義
第1節 すべての前提かつ統一としての宗教
シュライエルマッハーの生涯における宗教
シュライエルマッハーの学問における宗教
シュライエルマッハーのキリスト教的有機体的世界観
第2節 教育における有限と無限―歴史と世代関係―
歴史的事象としての倫理的世界
世代関係(歴史的事象)としての教育と教育の普遍性
教育問題の弁証法的展開
第3節 神の摂理(神的秩序)と教育方法論
神の摂理(神的秩序)
自発性の原理と保護・抑制・助成
乳幼児期の教育
少年期の教育
主要引用・参考文献
あとがき
人名索引
事項索引