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ミューズ教育思想史の研究

定価: 26,400 (本体 24,000 円+税)

ドイツ古典期F・シラーの美的教育論以来200年間にわたるミューズ教育思想の歴史の全貌を詳細に描写し、その核心を<美的―政治的教育>構想と捉えて論述する。

【著者略歴】
長谷川哲哉(はせがわ てつや)
1946年 岐阜県に生まれる
1972年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了
1974年 和歌山大学教育学部講師
1978年 和歌山大学教育学部助教授
1986年~1987年 ハンブルク大学に文部省外地研究員
1991年 和歌山大学教育学部教授、現在に至る
博士(美術) 芸術教育学・美的教育論専攻
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
序章 研究の目的と方法
 序章の概要
第1節 研究の目的と問題の所在
 1 研究の動機-美術教育からミューズ教育へ
 2 研究の目的としてのミューズ教育思想史の研究
 3 問題の所在としての人間疎外の状況
 4 現代生活の一般的傾向とミューズ教育
第2節 先行研究について.
 1 ドイツにおける先行研究の概要と問題点
 2 我が国における先行研究の概要と問題点
第3節 研究の方法について
 1 先行研究における方法上の問題点
 2 思想史研究について
 3 ローティの「哲学史の記述法」としての「歴史的再構成」
 4 ローティの「合理的再構成」と「歴史的再構成」
第4節 本論文の内容と構成
 1 本論文の内容
 2 本論文の構成
第1章 ミューズ教育思想の成立
 第1章の概要
第1節 「ミューズ的」の概念
 1 概念規定の方法
 2 ミューズ、ムゥシケー、ミューズ的.
 3 「ミューズたち的(musenhaft)」と「ミューズ的(musisch)」
 4 史上最初の「ミューズ的」H・ハルレスの「ミューズ的芸術」 
 5 「ミューズ的」ないし「ミューズたち的」と「芸術的(künstlerisch)」
 6 「ミューズ的」と「音楽的(musikalisch)」
 7 最広義の「芸術的」としての「ミューズ的」
 8 「ムーゼ(Muse)」と「ムーセ(Muße)」及び遊戯
 9 美的-倫理的価値概念としての「ミューズ的」
第2節 ミューズ教育思想の成立
 1 芸術教育運動とミューズ教育
 2 ラングベーンの「ミューズ的著作」
 3 A リヒトヴァルクと「ミューズ的教養」
 4 芸術教育と「ミューズ的四学」
 5 青年運動と「ミューズ的表現」
 6 青年音楽運動、素人演劇運動とミューズ教育
 7 表現主義とミューズ教育
 8 ミューズ教育思想からシラーの美的教育論へ
第2章 ミューズ教育思想の歴史
 第2章の概要
第1節 1920年代のミューズ教育思想
 1 本節の意図と方法
 2 1920年代以前における「ミューズ的芸術」と「ミューズ教育」 
 3 1920年代前半のミューズ教育思想
 4 1920年代後半のミューズ教育思想(E・クリークとH・フライア)
 5 1929年でのミューズ教育的言説
 6 時代批判 文化批判とミューズ教育思想
第2節 1930年代前半のミューズ教育思想
 1 本節の意図と方法
 2 1930年代初頭のミューズ教育思想 
 3 1930年代初頭のミューズ的美術教育思想 
 4 1934年での「ミューズ的なものの使命」 
 5 「ナチズム的美術教育学は存在したか?」
 6 ナチス期でのW・キルヒャー著『ミューズ的国民教育』 
第3節 戦後早期のミューズ教育思想
 1 本節の意図と方法
 2 1949年3月カルブでのミューズ教育大会について 
 3 カルブ大会でのミューズ教育思想
 4 ミューズ的なものの「限界と特殊な危険」
 5 1949年11/12月フルダでの芸術教育会議 
第4節 1950年代及び60年代以降のミューズ教育思想
 1 本節の意図と方法
 2 ハーゼの(「ミューズ的生」と「教養」)
 3 ミューズ教育と宗教との関係問題をめぐつて
 4 50年代ミューズ教育論の深化 
 5 50年代末でのミューズ教育への現実主義からの批判 
 6 60年代以降でのミューズ教育からの現実主義への対抗 
 7 70年代でのミューズ教育研究 
 8 80年代以降でのミューズ教育の位置
第3章 ミューズ教育論議の具体相(戦前)
 第3章の概要
第1節 W・フリットナーのミューズ教育論
 1 本節の意図と方法
 2 フリットナーの経歴と業績
 3 フリットナー教育学の基本的特質
 4 フリットナーのミューズ教育論
 5 フリットナーの「ミューズ的」の概念について
 6 クリークのミューズ教育論との比較
第2節 F・ヴュル7エルのミューズ教育論
 1 本節の意図と方法.
 2 ヴェルフェルの経歴について
 3 『現実主義と内面性』から.
 4 『我々は神への信仰なしで生きられるか』から
 5 表現主義及びヴエルフェルヘの諸批判について
 6 「内面性」の問題について
 7 美的共同体の問題について
 8 E・クリーク及びW・フリットナーのミューズ教育論との比較
第3節 J・イッテンのミューズ的美術教育の実践と理論
 1 本節の意図と方法
 2 イッテンの経歴と教育目的
 3 シラーの美的教育論とイッテンの全体性教育
 4 イッテンの教育方法
 5 ミューズ教育とイッテンの教育
 6 イッテンの美術教育:合理と非合理のはぎま
 7 「普遍性要求」に基づく「全き人間」の教育
 8 バウハウス内部でのイッテン批判から
 9 イッテンのミューズ的人間教育
第4章 ミューズ教育論議の具体相(戦後)
 第4章の概要
第1節 O・ハーゼのミューズ教育論
 1 本節の意図と方法
 2 ハーゼの経歴について
 3 倫理的実存としての良風美俗の再生
 4 ミューズ的なものの諸性質
 5 ミューズ的なものの心理学的な意味
 6 ミューズ的なものの敵対者
 7 ミューズ的生の根本法則
 8 ミューズ的四学と良風美俗の学校
 9 ミューズ運動の歴史
 10 ミューズ的なものの限界
 11 シラーの美的教育論とハーゼ
 12 ハーゼの現象学的方法
第2節 O・ハーゼへのG・オットーからの批判 
 1 本節の意図と方法 
 2 オットーの経歴について
 3 ミューズ教育の成果の検証不可能性から
 4 芸術の媒体化・手段化の危険から 
 5 現代の社会・文化への適応準備の不足から
 6 知性化の必要から
 7 Th・リットの調和主義批判から 
 8 オットーの構想の経済的―社会的文脈 
 9 オットーの構想における芸術の簡約化 縮減化 
 10 人間形成としてのミューズ教育 
第3節 アドルノによるミューズ教育批判 
 1 本節の意図と方法 
 2 疎外・物象化の克服の不可能性について
 3 芸術の手段化の危険視について 
 4 ファシズムとの共通点について 
第5章 英語圏におけるミューズ教育思想 
 第五5の概要
第1節 リードの美的教育論とドイツのミューズ教育思想
 1 本節の意図と方法 
 2 時代批判 文化文明批判
 3 遊戯への注目 
 4 表現主義との関連 
 5 ムゥシケ一による教育 
 6 生命援助としての教育
第2節 ローウェンフェルドのミューズ教育論
 1 本節の意図と方法
 2 文献について
 3 ローウェンフェルドのミューズ教育論
 4 ドイツ的-オーストリア的背景
 5 文化批判的な教育意識
 6 補遺―ローウェンフェルド思想の独文表現と英文表現
第6章 シラーの美的教育論とミューズ教育思想
 第6章の概要
第1節 人間教育かつ政治教育としての美的教育
 1 人間の自由 全体性の教育
 2 美的―政治的教育 
第2節 ミューズ教育思想におけるシラー理論の受容
 1 H・ハルレス「芸術的感覚の陶冶」とシラー
 2 A・リヒトヴァルク「倫理的革新の呼掛け」とシラー
 3 E・ザルヴュルク「全き人間の形成」とシラー
 4 F・ヴェルフェル 「ミューズ的人間」とシラー
 5 W・フリットナー「ミューズ的教養」 「政治の問題」とシラー
 6 O・ハーゼ「ミューズ的なものと政治教育」とシラー
 7 F・メサァシュミット「政治的陶冶とミューズ的陶冶」とシラー
第3節 シラー理論とシラー批判について
 1 シラー理論の骨格とその時代批判的意味
 2 シラー批判について(1) 
 3 シラー批判について(2)
第4節 シラー理論の評価
 1 マルクーゼによるシラー理論の解釈
 2 ハーバーマスによるシラー理論の解釈
第5節 シラー理論のミューズ教育思想への関連付け
終章 研究の成果と課題
 終章の概要
第1節 本研究論文の成果 
 1 ミューズ教育思想史の全体像
 2 シラーの美的教育論とミューズ教育思想との関連 
 3 ミューズ教育思想における諸概念とその構造的関係
第2節 今後の研究課題
 1 「歴史的再構成」
 2 (ミューズ的なもの)の現象学
 3 ミューズ教育実践史の研究


著者長谷川哲哉 著
発行年月日2005年12月25日
頁数842頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1540-2