博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

キルパトリック教育思想の研究

アメリカにおけるプロジェクト・メソッド論の形成と展開

定価: 9,680 (本体 8,800 円+税)

「プロジェクト」という概念並びにそれを基礎とする教育論の史的影響や理論的特質を、その大成者であるキルパトリックの思想形成を軸として検討した書。

【著者略歴】
佐藤隆之(さとう たかゆき)
1966年 東京都生まれ
1989年 早稲田大学教育学部教育学科教育学専修卒業
1993年 シカゴ大学大学院社会科学系教育学専攻修士課程修了
1996年 早稲田大学教育学部助手
1998年 早稲田大学大学院教育学研究科博士課程(教育基礎学専攻)単位取得退学
2000年 玉川大学文学部専任講師
2002年 玉川大学教育学部専任講師
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
序章―本研究の主題と方法
 第1節 考察の主題
 第2節 考察の視点
 第3節 先行研究
  1.アメリカ
  2.日本
 第4節 本書の構成
第1章「プロジェクトメソッド」の構想―教科プロジェクト活動
 第1節 キルパトリックの主張するカリキュラム作成の基礎
 第2節 キルパトリックによるカリキュラム作成をめぐる対立の洞察
     ―「教科」中心対「活動」中心
 第3節 教科と活動の対立克服の論理
     ―「個人的組織」を基礎とするカリキュラム構成
 第4節「プロジェクト」を基礎とする「方法原理」の確立
  1.「統一的原理」の基底としての「プロジェクト」
  2.キルパトリック以前の「プロジェクト」
     ―「プロジェクトメソッド」立案までの経緯
 第5節「プロジェクトメソッド」における教科と活動
     ―教科の側面から
  1.「プロジェクト」の四類型における教科
  2.目的的活動の展開過程における教科
第2章 キルパトリック「プロジェクトメソッド」に対するデューイの影響
    ―「投企」としての「プロジェクト」
 第1節 デューイによる「プロジェクト」概念の批判的検討
  1.「構成的オキュペーション」としての「プロジェクト」の条件
  2.プロジェクトメソッドの革新性
 第2節「プロジェクトメソッド」における『民主主義と教育』の影響
  1.デューイの主張する「個人的方法」
  2.「個人的方法」と「プロジェクトメソッド」の理論的関係
 第3節 デューイにおける二つの「プロジェクト」
     ―「計画の考案」と「理想への投出」1
 第4節「投企」としての「プロジェクト」
 第5節 キルパトリックによるデューイ解釈の功罪
第3章「個別教授」における教科と「プロジェクト」
    ―プロジェクトメソッド批判の論理とその妥当性
 第1節 ウオッシュバーンによるプロジェクトメソッド批判
 第2節 ウィネトカプランにおける教科の位置(1)
     ―理論的側面から 
  1.「創発的カリキュラム」と「計画的カリキュラム」
  2.社会的効率主義の影響―文化的リテラシーとの共通性 
  3.「教育の科学化」による教科と活動の対立の調停
 第3節 ウィネトカプランにおける教科の位置(2)
     ―実践的側面から
  1.「実践者」ウオッシュバーンと「理論家」キルパトリック
     ―「子ども中心かつ社会中心の進歩主義」
  2.「行政的進歩主義」としてのウイネトカプランと「教育学的進歩主義」
     としてのプロジェクトメソッド 
 第4節 パーカーストによるプロジェクトメソッド解釈
  1.ドルトンプランにおける伝統的カリキュラム受容の背景
  2.「個別教授」とプロジェクトメソッドの批判的検討
 第5節 ドルトンプランにおけるカリキュラム改造の論理
    ―教室の実験室化によるカリキュラムの再構成
 第6節「個別教授」におけるプロジェクトメソッド批判の妥当性
第4章 キルパトリック教育思想における「協同」概念の再検言
    ―GHミードの理論的影響を中心として
 第1節 個別教授における「協同」の特質とキルパトリックによる批判
 第2節 ソーンダイク結合主義の否定とミードの受容
 第3節「自己一他者プロセス」を基礎とする教育過程
    ―ミード自我論の影響
 第4節 キルパトリックにおける「協同」の特質
  1.「自己―他者プロセス」における「協同」
  2.個別教授における「協同」との相違
  3.ミード受容の限界と先見性
第5章 プロジェクトメソッドのドルトンプランに対する影響
    ―伝統的カリキュラムから「統合カリキュラム」へ
 第1節 キルパトリックによるドルトンプラン批判 
 第2節 実践におけるドルトンプラン批判 
 第3節 プロジェクトメソッドによるドルトンプランの修正
 第4節「統合カリキュラム」にみるプロジェクトメソッドの影響
第6章「プロジェクト」と「プログラム」―ボーダのプロジジェクト
   クトメソッド批判に対するキルパトリックの反論
 第1節 ボーダとキルパトリックの理論的関係
 第2節「プロジェクト」への対案としての「プログラム」
  1.ボーダのプロジェクトメソッド批判 
  2.「論理的組織」を基礎とする「プログラム」の提起
  3.「プログラム」の基底としての「社会的組織」
    ―ボーダにおける「論理的組織」と「心理的組織」の理論的関係 
  4.教育の「科学」と「プログラム」―「プログラム」の特質 
 第3節 ボーダの批判に対するキルパトリックの反論―「プログラム」
     との比較における「プロジェクト」の特質
  1.『進歩主義教育』誌における論争
  2.「プロジェクト」における「論理的組織の心理化」
  3.教育の「哲学」を基礎とする「プロジェクト」
 第4節 プロジェクトメソッドにおける「プログラム」
  1.「プロジェクト」のなかの「プログラム」
  2.教材構成における「プログラム」
 第5節「プログラム」に対する「プロジェクト」の妥当性
     ―理論と実践の関係 
第7章 キルパトリックによるプロジェクト・メソッドの実践
    ―コロンビア大学ティーチャーズカレッジにおける授業を中心として
 第1節 大学教師キルパトリックによるプロジェクトメソッドの実践と立案
 第2節 ティーチヤーズカレッジにおけるキルパトリックの授業
 第3節 大学教育におけるプロジェクトメソッド論
 第4節 キルパトリックの実践にみるプロジェクトメソッドの要諦
  1.「より深い思考」の育成
  2.学際的教材の開発 
 第5節 プロジェクトメソッドにおける教師像
第8章 1918年以後におけるプロジェクトメソッド論の展開と変容―教授原理の確立
 第1節「プロジェクト」概念の明確化
 第2節 プロジェクトメソッド実践化の具体案の提起
 第3節 プロジェクトメソッドの教授過程―教授の八段階
  1.学習過程の分析から教授過程の分析へ 
  2.教授過程の定式化 
 第4節 プロジェクトメソッド実践化の「テクニック」
 第5節「プロジェクト」を基礎とする教授の方法原理の確立
     ―「反省」「共同」「実演」
終章―「理想」としてのプロジェクトメソッド
参考文献
あとがき 
著者佐藤隆之 著
発行年月日2004年04月15日
頁数360頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1439-9