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戦後日本高等教育行政研究

定価: 15,400 (本体 14,000 円+税)
激変する大学の震源を求めて、高等教育行政研究の観点から、戦後の高等教育政策と科学技術政策を歴史的、構造的に解明。大学自治論の現代的な再構築を目指す。

【著者略歴】
細井克彦(ほそい かつひこ)
1944年 大阪市生まれ
1978年 東京大学大学院教育学研究科満了
現在 大阪市立大学大学院文学研究科教授

専攻 教育行政学
2001年 名古屋大学から博士(教育学)授与
目次を表示します。
序章 本研究の課題と方法、対象
第1節 高等教育行政研究の課題
1)高等教育概念の展開とその問題
2)現代高等教育の「構造」把握とその問題
3)高等教育行政研究の特質
第2節 本研究の課題と方法
1)戦後大学改革の再吟味
2)大学の大衆化と生涯学習論
3)大学の規定的要因としての科学技術政策
第3節 本研究の対象と内容
第1部 戦後高等教育行政の展開
第1章 戦後改革と高等教育行政
第1節 戦前の高等教育行政と大学管理制度
第2節 第一次米国教育使節団報告書の高等教育改革案
1)教育使節団報告書の「高等教育の目的と自由」
2)教育使節団の意図と日本側教育家委員会の対応
第3節 高等教育の水準向上行政と大学基準協会の役割
1)アクレディテーション・アソシエーションの準備
2)設置認可及び水準向上行政の考え方
3)大学基準協会の結成と大学設置委員会
第4節 教育刷新委員会と大学管理問題
1)大学の地方委譲問題と理事会案
2)大学法試案要綱をめぐって
3)教育関連諸法制の整備と高等教育行政
第5節 占領政策の転換と文部省の高等教育行政
第2章 大学設置基準の省令化と高等教育政策の転換
第1節 大学設置基準の省令化とその機能
第2節 高等教育政策の転換と中教審「38答申」
1)大学設置基準の緩和措置
2)高等教育政策の転換
3)大学設置基準改訂の動きとその批判
第3節 中教審「46答申」と大学設置基準の改訂
1)大学紛争と設置基準の改訂
2)「46答申」とそれに対する反響
3)筑波大学法制定後の設置基準改訂
第3章 高等教育計画の登場と高等教育制度の転換
第1節 高等教育政策と高等教育計画
第2節 高等教育懇談会と高等教育計画 
1)高等教育懇談会の設置と大学政策の転換
2)「1976−80年度計画」
第3節 大学設置審議会と高等教育計画
1)「1981−86年度計画」
2)「1986−92年度計画」
第4節 大学審議会と高等教育計画 
1)大学審議会と高等教育政策の転換
2)「1993−2000年度計画」
3)「2000年度以降の将来構想」
第5節 高等教育計画の帰結と課題
第4章 臨教審・大学審以後の高等教育行政
第1節 1980年代以降の高等教育政策の構造的特質―財界の高等教育改革戦略との関連で―
1)1980年代以降の高等教育政策の特質
2)臨教審後の財界の高等教育改革戦略
第2節 臨教審の高等教育政策の特質 
1)臨教審の教育改革政策の特徴
2)高等教育政策と「自由化」論
第3節 大学審の高等教育改革政策の構図
第4節 1990年代の大学改革政策の展開―新たな段階を迎えた高等教育行政―
1)大学・大学院改革の新展開
2)大学評価システムの導入
3)大学教員任期制法の制定
4)大学管理体制の確立
5)「21世紀の大学像」の提示
6)「グローバル化時代の高等教育」と大学入試
第5節 高等教育行政の現段階の特徴―国立大学の独立行政法人化問題を軸に―
第2部 現代高等教育行政の構図
第5章 高等教育構造の変化と大学
第1節 高等教育構造の現況
第2節 高等教育構造変化の特質 
1)大学―種別化・多様化
2)大学院―重点化と多様化
  3)短期大学―固有性の模索
第3節 4年制大学の位置とあり方
第6章 大学院の重点化と多様化
第1節 大学院政策の転換とその背景
 第2節 大学院の制度的性格の変遷 
 第3節 大学院改革の現状と問題 
  1)大学院改革の諸相
  2)大学院改革の現状の問題
第7章 学術政策の転換と学術体制
 第1節 学術体制の政策上の位置づけと課題
 第2節 学術体制の再編動向 
  1)学術審議会、日本学術振興会の動向
  2)日本学術会議の動向
第3節 学術体制と大学の位置及び役割
第8章 大学の管理運営と評価システム
第1節 戦後の大学管理運営問題と1980年代以降の変化
1)1980年代までの大学管理運営問題
2)1980年代以降の状況変化
第2節 大学評価システム―自己点検・評価から第三者評価へ―
第3節 大学自治の問題と課題
補章 国立大学独立行政法人化と大学財政
第1節 独立行政法人通則法下の大学財政問題
1)独立行政法人通則法等の財源措置、財務会計制度の問題
2)独立行政法人会計基準の問題点
第2節 文部省、国立大学協会等の財政要求・制度構想 
1)文部省、自民党の法人化構想と財政問題
2)国大協の「国立大学法人」構想と財政問題
3)個別大学における法人構想と財政問題
第3節 国立学校特別会計制度の実態と問題
1)国立学校特別会計制度の実態と問題
2)大学特別会計の考え方とその問題
第4節 私学助成と学校法人会計基準の問題
1)私立大学財政と国庫助成の実態と問題
2)学校法人会計基準の問題点
第5節 大学財政と財政自主権の確立 
1)高等教育財政の拡充と大学財政の基本原理
2)受益者負担主義の克服
3)財政民主主義と財政自主権の確立
第3部 高等教育行政の社会的基盤―科学技術政策と大学を軸として―
第9章 戦時下の科学技術政策と大学
第1節 戦前日本の科学技術政策の確立
第2節 戦時下の科学技術政策の基本構造とその同時代人による批判 
第3節「科学動員」の思想と構造、およびその同時代人による批判
第10章 高度成長期の科学技術政策と大学
第1節 高度成長期の科学技術政策の成立と展開
第2節 戦後日本の科学・技術発展の土台 
1)科学・技術における日米関係
2)経済の軍事化と科学・技術
3)科学・技術発展の基礎としてのオートメーションと労働の変化
4)経済計画と人材養成政策
第3節 大学における科学技術政策の浸透―規定的要因としての特質―
1)大学の規定的要因としての科学技術政策
2)新設学科に見る科学技術政策
3)「産軍学協同」と学問研究の自由の問題
第11章 「技術立国」政策の登場と大学
第1節 現代資本主義と科学・技術 
1)日本資本主義の構造的変化
2)「国際化」の中の日本の科学・技術
3)産業構造の転換と科学・技術
第2節 1980年代の科学技術政策の展開
1)「技術立国」路線下の科学技術政策
2)産官軍学協同体制への傾斜
第3節 「技術立国」政策下の大学
1)産官学協同の新局面
2)財界の提言と大学の論理
第12章 科学技術基本法体制の形成と大学
第1節 科学技術政策の国家戦略上の位置づけの変化
1)科学技術基本法体制の形成
2)科学技術基本法・基本計画の枠組みと内容
3)国家改造と科学技術行政機構の再編
第2節 1990年代の科学技術政策 
第3節 科学技術基本法体制下の科学技術政策の動向
1)学術・科学技術政策への志向
2)科学技術政策の国家産業技術戦略化
第4節 1990年代の大学・大学院の変貌 
1)高等教育政策の転換
2)国立大学の独立行政法人化問題
3)産学官協同の新段階
終 章 高等教育行政と大学の条件
第1節 戦後の高等教育行政と大学の物質的基礎
第2節 大学の存立意義と自治
第3節 大学の任務と教育的課題
あとがき 
索  引 
著者細井克彦 著
発行年月日2003年03月15日
頁数524頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1357-6