フランス絶対主義と市民革命
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序文
第一章 総説 フランス絶対主義と市民革命
Ⅰ 本書の意義
Ⅱ フランス絶対主義の正確な解釈が必要である
Ⅲ フランス絶対主義の成立過程と日本の封建制度
Ⅳ 宮廷貴族の財政特権
Ⅴ 絶対主義時代の領地の構造を知る必要がある
Ⅵ 特権的商業資本の正確な位置付けが必要である
Ⅶ フランス絶対主義の何が市民革命によって変化したのか
Ⅷ 市民革命の正確な解釈
第二章 フランス絶対主義における高等法院貴族
Ⅰ 問題の所在
(1) 常識的な水準で知られていること(2)用語についての厳密な規定
(3) 絶対主義の均衡説にもとずく解釈(4)貴族とブルジョアジーの勢
力均(5)高等法院は最強の集団であったかどうか
Ⅱ 高等法院貴族の実態
(1)貴族と平民の比重(2)貴族は領主であった(3)高等法院貴族の官
職収入(4)ヴェナリテ(官職売買)の価格(5)歴史的変遷
Ⅲ 絶対主義の時代における高等法院貴族の位置付け
(1)宮廷貴族と高等法院貴族の関係(2)高等法院貴族の役割を過大評
価するべきではない
第三章 フランス絶対主義における法服貴族の役割
Ⅰ 問題提起
(1)絶対主義の支配者は新興貴族であるかどうか(2)宮廷入りした法
服貴族をどう解釈するか
Ⅱ 宮廷入りを許された法服貴族
(1) 財政官僚―財務総監と知事(2)ベルチエ・ド・ソヴィニ
(3)ネッケルの周辺(4)フルーリとラヴェルディ(5)フレッセルとド
ルメソン(6)テレー修道院長兼財務総監(7)財務総監を保護した有力
宮廷貴族
Ⅲ 財務総監コルベールとその一族
(1) コルベールをどう評価するか(2)多数のコルベールと大コルベー
ル(3)コルベール家の始祖(4)財務総監コルベールの系図
(5)マザラン公爵に推薦されて財務総監になった(6)コルベルティズ
ムの意義(7)コルベールの位置付け(8)コルベールの子孫
(9)コルベールの財産を過大評価するべきではない
Ⅳ 理論的要約
(1)理論的誤りの実例(2)正確な理論的解釈(3)フランス絶対主義の
問題点
第四章 フランス絶対主義における大領主
Ⅰ 問題の所在
(1)王権の支柱は大領主=宮廷貴族である(2)大領主を強調する理由
(3)なぜこの証明が必要か(4)宮廷貴族の正確な描写を出発点にする
べきである
Ⅱ 宮廷貴族の実態
(1)宮廷入りの条件(2)宮廷の官職(3)宮廷貴族の飲食費、宴会費 (4)国王一族の小宮延の乱立(5)高級官職を持つ宮廷貴族の実例
(6)主馬頭ランベスク大公(7)宮廷の浪費が貴族によって歓迎された
(8)外交、軍事の権力者(9)第一身分の上層(高級聖職者)
(10)宮廷貴族の領地
Ⅲ 残る問題点
(1)宮廷貴族が大臣に就任した(2)宮廷貴族に保護された者が大臣に
就任した(3)宮廷貴族のその他の特権
Ⅳ 市民革命の比較経済史的解釈
(1)フランス革命への展望(2)主要諸国の絶対主義と市民革命
(3)絶対主義と市民革命を日本史について考える
第五章 フランス革命前夜の財政問題
Ⅰ 問題の所在
(1)フランス革命の原因をどこに求めるか(2)経済的原因を漸進的な
ものとみるか、それとも急激なものとみるか(3)貴族革命説は正しい
かどうか(4)正確な対立の図式―宮廷貴族対ブルジョアジー
(5)財政問題がフランス革命のひきがねになった
Ⅱ 貴族の減免税特権
(1)基本的直接税の減免税特権(2)付加税についての減免税特権
(3)聖職者(第一身分)の減免税特権(4)宮廷貴族の実質的脱税行為
(5)当時は貴族減免税特権を批判することが出来なかった
Ⅲ 宮廷貴族による財政資金の浪費
(1)宮廷と王室の浪費(2)無用高級官職にともなう高額の俸給
(3)赤帳簿と宮廷貴族の財政特権
Ⅳ ルイ一五世の時期
(1)ルイ一五世時代初期の悪政(2)ルイ一五世中期の財政政策
(3)ルイ一五世による財政改革の試みとその失敗(4)テレー財務総監
Ⅴ ルイ一六世時代の初期
(1)財務総監テュルゴーの改革
(2)垂農主義者テュルゴーの成功と敗北
Ⅵ 結論―フランス革命への展望
(1)フランス絶対主義における王権の支柱(2)宮廷貴族(大領主)の
財政特権(3)財政的側面からみたフランス革命論(4)財政的側面から
みた市民革命の一般論
第六章 フランス革命における土地改革
Ⅰ 学説史的意義
(1)フランス革命における土地革命の理論(2)フランスにおける土地
問題の実証的研究(3)土地革命論に基づくフランス革命と明治維新の
比較(4)土地革命の理論は実証的研究と一致するかどうか(5)フラン
スでは領主権廃止ではなく国有財産の売却が問題になってきた
Ⅱ フランス革命直前の土地所有の分布状態
(1)地域的な相違(2)ノール県全体としての要約(3)土地所有の分布
状態
Ⅲ 領主権と土地所有権
(1)領主権の負担の相違―貴族の土地と平民の土地(2)領地の内部に
おける直領地の存在
Ⅳ 領主権廃止の過程
(1) 封建的権利の有償廃止(2)ジロンド派が推進した領主権の無償
廃止(3)国有財産売却の効果
Ⅴ 結論
(1)土地革命論は正しかったかどうか(2)フランス革命の正確な事実
を認めることが重要である
第七章 フランス革命期における銀行家
Ⅰ 問題提起
Ⅱ ルクツー
(1)フランス革命前の上層ブルジョアジー(2)フランス革命初期の革
命的銀行家(3)反革命の側に立った銀行家(4)恐怖政治の迫害を受け
た銀行家(5)ナポレオンと協力した銀行家
Ⅲ ペリエ
(1)グルノーブル市のブルジョアジー(2)クロード・ペリエの成功と
貴族社会への不満(3)革命に全面的な協力を続けたクロード・ペリエ
(4)恐怖政治で死んだ弟のオーギュスタン・ペリエ(5)銀行家、大工
業家として成功したクロード・ペリエ(6)貴族的ブルジョアジーとな
り、フランスの支配者を出した
Ⅳ フール
(1)ユダヤ系銀行家(2)恐怖政治の危機をまぬかれた銀行家
(3)第二帝制の支配者・ボナパルティズムの支柱
Ⅴ 市民革命の理論に対する影響
(1)ルクツー一族とフランス革命の関係(2)ペリエ一族とフランス革
命の関係(3)フール一族とフランス革命の関係(4)フランス革命にお
ける基本的変化(5)市民革命の普遍的法則(6)明治維新とフランス革
命の同一(7)コバン・テイラーの学説の誤り
第八章 市民革命の一般理論
Ⅰ 実証と理論
(1)『国民の歴史』との関係(2)大塚史学への批判者としての評価
(3)「土地革命論」への批判者でもあったと指摘しておきたい
Ⅱ 政治体制と市民革命の関係についての提言
(1)ビスマルク憲法は市民革命の一つの形態である(2)ドイツ帝国憲
法の原型は市民革命としてのプロイセン三月革命で成立した(3)議会
制民主主義、ドイツ帝国憲法のどちらもが市民革命の成果を実現する
(4)市民革命の政治形態として軍事的独裁制もありうる(5)明治維新
を世界の市民革命の中で位置付けることが目的である(6)とくに西洋
人に対して東洋と西洋の中の共通点(市民革命にかんする)を認識させ
ることが課題になる
Ⅲ 市民革命の定義をめぐる問題点
(1)「市民革命」という英語が存在しないことのむずかしさ(2)フラ
ンス人はフランス革命を認めて市民革命を認めない(3)市民革命の語
源はドイツ語に求められる(4)市民革命を町人革命と翻訳するべきで
あった
Ⅳ 市民革命の前提条件
(1)前提条件の多様性(2)多様性の中にひそむ一つの共通点(3)土地
支配の上に組織された権力―市民革命直前の権力組織(4)中央集権の
強弱は商工業の発達に対応する(5)絶対主義は領主階級の権力集中で
ある(6)絶対主義の下では商人、金融業者はまだ被支配者であった
Ⅴ 市民革命の基本法則
(1) 工業、金融業の発達が市民革命の前提になる(2)国家財政の赤字
が市命をひきおこす(3)市民革命で商工業者、金融業者が権力を握る
(4)商工業者、金融業者は旧支配者の一部と提携する(5)商工業者、
金融業者は人民代表の形式も採用する(6)フランス革命は貴族政治家
と人民代表の両面を含む(7)明治維新でもブルジョアジー支配の実質
が武士の背後に隠される(8)市民革命必ずしも議会制民主主義を作ら
ない
Ⅵ 市民革命の年代設定
(1)市民革命の基本法律(2)世界各国の市民革命
あとがき
研究業績一覧