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京都人文学園成立をめぐる戦中・戦後の文化運動

定価: 10,120 (本体 9,200 円+税)

敗戦直後に独自の教育活動を展開した京都人文学園を中心に、社会的主体の育成を目的とする民間のボランタリーな教育実践の意義と機能を実証的に解明する。

【著者略歴】
山嵜雅子(やまざき まさこ)
1959年 秋田県秋田市に生まれる
1981年 秋田大学教育学部卒業
1995年 立教大学大学院文学研究科教育学専攻博士課程前期課程修了
1999年 立教大学大学院文学研究科教育学専攻博士課程後期課程退学
博士(教育学)
現在 立教大学文学部助手

専攻は社会教育、成人教育
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
序章 研究対象と課題 
  1.敗戦直後の教育文化運動の今日的検討
  2.対抗文化の概念規定
  3.対抗文化創出の試行の解明に向けて
第一章 戦時下における知識人の思想と行動
 第一節『世界文化』『土曜日』における反ファシズム文化運動
  1.『世界文化』『土曜日』の成立と運動の概要
  2.『世界文化』を構成する論理
   ①『世界文化』の記事構成と内容 
   ② 編集方針の推移
   ③ 知識人の行動の論理 
  3.『土曜日』の意図と実践
   ①『土曜日』の内容と方向性 
   ②『土曜日』と読者の関係性
   ③ 集団と組織論
 第二節 同人たちの思想形成
  1.中井正一
  2.新村猛
  3.久野収
  4.戦後への布石
第二章 京都人文学園の成立と教育
第一節 人文主義教育と理念
1.京都人文学園の研究に向けて
   ―先行研究の検討と本章の課題―
  2.敗戦直後の京都における啓蒙的文化運動
   ―学園成立の背景として―
  3.京都人文学園成立への経緯
  4.京都人文学園の理念
第二節 京都人文学園における教育
 1.学園の教育内容
   ① 開校時の教育構想 
   ② 軌道修正と理想追求
    ―1947年度の教育課程に反映された問題と課題―
   ③ 学園の危機と再編への取り組み
    ―1949年度の教育課程成立をめぐる論議―
   ④ 課外講義と講演会 
  2.学園新聞に現われる生徒像
   ① 生徒と学園生活 
   ② 学園内外における生徒たちの活動
   ③ 学問観と学園観
第三節 人文主義教育の意義と遺産
  1.人文主義教育の意図と現実―新村猛の思想に沿って―
   ① 新村猛の教育思想と学園の教育
   ② 理想と現実の相剋
  2.学園の評価
   ① 入学の動機
   ② 学園生活から得たもの 
   ③ 学園の限界および矛盾点
④ 学園の果たした役割 
3.敗北と転換
  ① 新学制の発足と学園の存在価値の揺らぎ 
② 反権威主義を貫いて
第三章 対抗文化の同時代史
 第一節 敗戦直後の文化運動の興隆と衰亡
  1.中井正一の広島県における文化運動
   ① 運動の展開
   ② 意識革命への随伴 
   ③ 精神性の継承
  2.「悔恨共同体」による啓蒙・教育活動
   ① 敗戦直後の文化運動の擡頭
   ②「悔恨共同体」の形成
   ③ 文化運動の終焉
 第二節 文化運動の担い手たちの戟後史
  1.知識人たちの戦後史―新村猛、久野収の軌跡を通して―
  2.京都人文学園の生徒たちの軌跡
   ① 卒業後の略歴
 ② 学園体験の影響と継承
③ 卒業生の特性と傾向
第四章 オルタナティヴ志向の思想と行動への現代的視座
 第一節 思想と行動をかたどるもの
  1.批判精神の担い手たち
  2.批判精神の生成と形成
① 知識人とマルクス主義 
   ② 戦中・戦後の知識人における批判精神の発現過程
  3.批判精神の継承と発展
   ① 教育的装置としての文化運動
   ② 文化運動の教育的意義 
第二節 思想と行動が創り出すもの
1.変革と文化形成への志向
   ① 対抗文化再考―『世界文化』『土曜日』と京都人文学園を通して    ② 対抗文化創出への模索
  2.対抗文化創出の試行の遺産と現代的意義
   ① 教養論・教養観の系譜 
   ② モラトリアムとしての機能
終章 対抗する思想と生きる思想
主要参考文献
あとがき 
著者山嵜雅子 著
発行年月日2002年01月15日
頁数338頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1294-4