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生徒個人情報への権利に関する研究

米国のFERPAを中心に

定価: 17,600 (本体 16,000 円+税)
教育情報の公開・開示制度をいかに構築するかという課題に、米国の事例研究に即して、理論的・実践的示唆を与える個人教育情報保護制度の総合的研究。

【著者略歴】
中嶋哲彦(なかじま てつひこ)
1955年 名古屋市に生まれる
1979年 名古屋大学法学部卒業
1986年 名古屋大学大学院教育学研究科博士後期課程単位等認定退学
久留米大学講師、助教授(1997年まで)
1997年 博士(教育学)
現在 名古屋大学教育学部(2000年4月より名古屋大学大学院教育発達科学研究科)助教授(教育行政学)
目次を表示します。
序章 本研究の課題と方法
第1節 生徒個人情報への権利に関する研究の意義と課題
第2節 日本と米国における生徒個人情報への権利
第3節 本研究の方法と視点
 1 生徒個人情報への権利に関する先行研究の検討
 2 FERPAに関する先行研究の検討
 3 本研究の方法と視点
第1部 FERPAにもとづく生徒個人情報への権利
第1章 FERPAの適用範囲
 はじめに
 第1節 教育行政機関と教育機関
 第2節 学生・生徒と親
  第1項 学生・生徒
  第2項 親
  第3項 FERPAにおける親と子の関係
 第3節 教育記録
  第1項 教育記録・個人識別情報
  第2項 適用除外事項
第2章 当事者開示の原則
 はじめに
 第1節 親と学生の当事者開示請求権
  第1項 当事者開示請求権の性質とねらい
  第2項 当事者への開示手続
 第2節 当事者不開示事由
 第3節 教育記録の保管と破棄
第3章 訂正削除請求権および異議申立
 はじめに
 第1節 訂正削除請求権の性格
 第2節 異議申立手続
  第1項 訂正削除請求 
  第2項 ヒアリング
  第3項 反論権
第4章 第三者開示同意権と法定開示
 はじめに
 第1節 第三者開示同意権
 第2節 名簿的情報の簡易開示制度 
  第1項 名簿的情報の開示手続
  第2項 名簿的情報の情報項目
  第3項 名簿的情報とプライバシー保護
 第3節 教育記録の法定開示
  第1項 正当な教育的関心をもつと認定された教職員への開示
  第2項 学校運営・管理上必要な開示
  第3項 警察,司法機関.犯罪被害者への開示
  第4項 被扶養学生の親への開示
  第5項 入学・転校先の教職員への開示
第5章 権利保障のための手続きと権利
 はじめに
 第1節 FERPAの法的性格
  第1項 連邦教育政策と支出条件設定権
  第2項 FERPAと支出条件設定権
 第2節 連邦教育省の役割と権限
  第1項 苦情申立権と措置請求権
  第2項 強制的措置とその有効性
 第3節 訴訟提起の可能性
  第1項 FERPAにおける私的訴権の否定
  第2項 公民権法1983条にもとづく訴訟
  第3項 公民権法1985条にもとづく訴訟
第2部 FERPAの成立事情
第1章 生徒個人情報保護をめぐる動向
 はじめに
 第1節 個人教育情報に関する教育界の議論
  第1項 ニューヨーク州教育省特別委員会報告
  第2項 カウンセラーの倫理的義務の提唱
  第3項 ハインとジェイコブズのガイドライン
  第4項 教育界の議論の意義と問題点
 第2節 ラッセル・セージ・ガイドライン
 第3節 ラッセル・セージ・ガイドラインへの反響
 第4節 ラッセル・セージ・ガイドライン以後の州法
  第1項 州生徒記録法制
  第2項 ウィスコンシン州法の生徒記録規定
  第3項 その他の州の事例
 小結
第2章 FERPA成立以前の判例の動向
 はじめに
 第1節 生徒個人情報を閲覧する権利
  第1項 公文書閲覧権にもとづく生徒個人情報閲覧権
  第2項 親の教育権
  第3項 親の教育権にもとづく生徒個人情報の閲覧
 第2節 訂正削除請求権
 第3節 第三者開示拒否権
 第4節 生徒個人情報の収集制限
 小結
第3章 FERPAの立法過程
 はじめに
 第1節 オリジナルFERPAの立法過程 
  第1項 バックレ一法案の特徴
  第2項 バックレ一法案の審議
 第2節 オリジナルFERPA批判と改正FERPAの成立
  第1項 FERPA改正論
  第2項 改正FERPAの概要
 第3節 改正FERPAの性格と問題点
  第1項 受験生の除外
  第2項 推薦状に関する権利放棄
  第3項 改正FERPAの性格
第3部 日本における生徒個人情報への権利の諸問題
第1章 教育における情報への権利
 はじめに
 第1節 個人教育情報の当事者開示
  第1項 現状とその特徴
  第2項 個人情報保護条例ルートの限界
 第2節 米国FERPAとその限界
  第1項 FERPAの権利保障
  第2項 FERPAの限界とその原因
 第3節 教育評価制度と学習権・情報への権利の保障
第2章 学校教育情報の公開・開示問題
 はじめに
 第1節 情報化社会と情報に対する権利
 第2節 学校教育情報の公開・本人開示制度
 第3節 学校教育情報の公開・開示の現状
 第4節 公開・本人開示問題の争点と課題
第3章 障害児の就学指導にかかる個人情報の本人開示
 はじめに
 第1節 就学指導のプロセス
  第1項 学校教育法等に定める障害児教育
  第2項 学校教育法・学校保健法等にもとづく就学指導体制
 第2節 本件開示請求・異議申し立てに至る経緯 
  第1項 A君の生育史と現状
  第2項 開示請求・異議申し立てに至る事情
  第3項 本件開示請求における争点
 第3節 就学指導に関する個人情報の保護・提供・本人開示
  第1項 就学指導における個人情報保護と保護者への情報提供
  第2項 個人情報の開示の問題
第4章 子どもの権利条約における情報プライバシー権
 はじめに
 第1節 §28①dの検討
 第2節 §16の検討
 まとめ
終章
資料
資料1 FERPAの変遷
資料2 FERPA施行規則
謝辞
著者中嶋哲彦 著
発行年月日2000年02月29日
頁数536頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1193-0