博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

教育学的人間学の諸相

その多様性と統一性

定価: 22,000 (本体 20,000 円+税)
教育学的人間学の代表的な諸理論を詳細に検討し、この学に統一をあたえる根本特徴が「人間と教育とをめぐる教育学的反省の往復運動」にあることを明らかにする。

【著者略歴】
氏家重信(うじいえ しげのぶ)
1954年生まれ
東北大学大学院教育学研究科博士課程修了
東北学院大学教養学部助教授
目次を表示します。
 序章 教育学的人間学とは何か
  一、教育学における人間学的な関心の必然性
  二、教育という事象の根源性
  三、「教育の根源性」のもう一つの意味
  四、人間と教育との相互的な照射としての教育学的人間学
  五、本論究の主題
第一部 教育学的人間学の生起と理論
 第一章 教育学の人間学的な基礎づけ
     ―M・J・ランゲフェルトと「子どもの人間学」―
  一、教育の指標としての「大人らしさ」
  二、教育学の存立根拠
  三、「子どもであること」の意味
  四、教育のパラドクス
  五、虚構としての教育? 
  六、教育学の人間学的な基礎づけ
 第二章 教育学における人間学的な見方
     ―O・F・ボルノウにおける教育学的人間学の構想とその具体化―
  一、教育学に内在する人間学的な動機
  二、教育学的人間学のプログラム
  三、教育学の新しいパラダイム
  四、教育をささえる感情的な基底
  五、A・二―チュケと「子どもの人間学」
  六、教育学の学問的性格
 第三章 教育学的人間学と教育学の論理
      ―W・ロッホと教育学の人間学的次元の画定―
  一、人間学の駆動力としての「未決の問い」
  二、教育学における人間学的次元
  三、教育学的人間学と教育学の論理
  四、捻括と批判
 第四章 教育学的人間学と人間の本質構造
      ―H・デップ=フォアバルトの教育哲学的人間学―
  一、哲学的人間学と教育学的人間学
  二、教育学的思考と「人間の本質」への問い
  三、人間像と人間学
第二部 教育学的人間学の展開と批判
 第五章 良心の形成史としての教育学的人間学
      ―J・デアボラフにおける教育学的人間学の構想―
  一、教育学の学問的性格と教育学的人間学
  二、「事象との対決」を導くものとしての教育
  三、良心と意味
  四、意味の媒介としての教育
  五、教育の経験科学と教育学的人間学の関係
  六、自己実現の過程の具体化としての「良心の機制史」
  七、批判と総括
 補章一 H・ノールの「教育学的人間論」
  一、デアボラフによるノール評価
  二、ノールの「教育学的人間論」
 第六章 教育学的人間像としての教育学的人間学
      ―K・ディーネルトの精神療法的な教育学的人間学―
  一、教育学の「基礎学」としての教育学的人間学
  二、さまざまの人間学モデル
  三、ホモ・エドゥカンドゥスの本質規定
  四、心理療法と教育学
  五、「教育的示範」
  六、批判的な中間考察
  七、教育の今日的な課題
  八、「青年期」の人間学的な考察
  九、発達の人間学
  十、青年期と「発達の課題」
  十一、「意味の模索者」としての青年
 補章二 エリクソンの自我同一性理論
  一、生の課題的性格と青年期
  二、青年期とアイデンティティの問題
 第七章 経験諸科学の〈人間学的〉な共働のなかでの教育学
     ―A・フリットナーと統合的人間学の構想―
  一、人間論に対する教育学的な貢献としての教育学的人間学
  二、経験科学における人間学的な眼ざし
 第八章 経験科学的な統合科学としての教育学的人間学
      ―H・ロートの包括的、体系的理論―
  一、人格の経験科学的な解明
  二、人間における陶冶性と規定
  三、人格を構成する諸機能のシステム
  四、批判的な中間考察
  五、発達と教育の本質的な交錯
  六、発達の教育学
  七、発達の教育学的な次元
  八、人間発達の統合理論
  九、自我の核心的作用としての三つの対処能力
  十、道徳的成熟としての「自己対処能力」の発達
 第九章 教育事象の人間学的なカテゴリー分析
      ―H・ツダルツィルの教育学的人間学―
  一、教育学的人間学の回顧
  二、新たな展望
  三、反省的な存在としての人間
  四、人間の自己規定と社会的な刻印づけ
  五、教育と陶冶
  六、学習の理論と発達における学習の役割
  七、教育の目標
第三部 教育学的人間学の課題と展望
 第十章 「教育学的人間学」批判
  一、〈批判〉の積極的意義
  二、「教育の必要性」への疑義
  三、「教育の必要性」批判に対する疑義
  四、「教育」の概念の意図的な狭隆化
  五、補節 ブレツィンカの「実践的教育学」
  六、「教育の人間学的な基礎づけ」の疑わしさ
 補章三 教育という名の暴力
     ―反教育学による「教育の必要性」の否定―
  一、教育の全称否定
  二、E・v・ブラウンミュールの反教育学
  三、A・ミラーの反教育論
  四、A・S・ニイルの教育論
  五、教育学的思考のネガとしての反教育学
  六、総括
 第十一章 A・ゲーレンと「文化人間学」の問題
       ―哲学的人間学と教育学的人間学の関係規定にむけて―
  一、考察の哲学的人間学への波及
  二、文化と人間との循環的な規定
  三、人間の生物学的な特異性―ゲーレンの人間論―
  四、客観的精神の人間学
  五、文化への人間学的な接近―ゲーレンの人間学的な制度論―
  六、文化と人間形成
  七、例証
  八、哲学的人間学と教育学的人間学
 最終章 教育学的人間学、その多様性と統一性
  一、主題の整理と確認
  二、教育学的人間学の学問的な位置
後記
著者氏家重信 著
発行年月日1999年11月30日
頁数688頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1170-1