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〈表象〉としての言語と知識

人間形成の基礎的地平

定価: 10,120 (本体 9,200 円+税)
教育的認識論の基礎研究。西欧の表象や根拠づけ主義の起源と系譜を辿り、知識論や言語哲学研究の成果を分析、新たな探究の座標、描写の知VS物語の知を提示する。

【著者略歴】
松下晴彦(まつした はるひこ)
1957年 愛知県に生まれる
1980年 名古屋大学教育学部卒業
1985~86年 ウィスコンシン大学大学院留学
1987年 名古屋大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学
1987年 椙山女学園大学人間関係学部講師
現在 椙山女学園大学人間関係学部助教授 博士(教育学)
目次を表示します。
プロローグ 
第一部 <表象>の展開と<言語哲学的研究>
第1章 <表象>の展開
 第1節 <遠近法>の精神史
   1.術語としての<遠近法>に関する若干の考察 
   2.ヘレニズム・ローマ期の<遠近法>
   3.ルネサソス期の<遠近法>の成立とその虚構性 
   4.<遠近法>の認識論的側面
第2節 <描写>と<物語>
   1.描写的芸術と物語的芸術 
   2.<表象空間>の表象―ベラスケス『ラス・メニーナス』再考―
第3節 <表象>と<視覚>の時代
 1.北欧の<視覚文化>
   2.<レンズ磨き>の時代 
   3.<レンズ>と科学的知識(学問)
第2章 <表象>としての言語的探究の系譜
 第1節 普遍言語計画と<分析>の起源
 第2節 論理実証主義と日常言語哲学
   1.論理実証主義の終焉 
   2.日常言語哲学 
(1)日常言語哲学の前提にあるもの 
(2)概念について語るということ
(3)認識行為の言語的諸相
第3節 概念(concept)の用法についての一考察
1.概念(concept)に関する問題の立て方
   (1)語彙的説明 
(2)概念へのアプローチの類型
2.「概念」の使用規則
(1)「概念の使用」と「『概念』について語ること」
(2)問題
第3章 20世紀の言語哲学的研究
 第1節 G.ライル、『心の概念』における<カテゴリー>について
1.『心の概念』の位置
2.<心に関する論理的地図>の矯正
   3.G.ライルの知識論
    (1)〈knowing how〉と〈knowing that〉の峻別
   (2)カテゴリーとしての〈knowing〉
   4.『心の概念』における<カテゴリー>という教義
   (1)分析の題材
   (2)<カテゴリー>の同一性と差異性 
第2節 プラグマティズムと<言語哲学>
1.Knowing and the Knownにおけるデューイとベントリーの言語観
   (1)J.デューイ(John Dewey)とA・F・ベントリー(Arthur
Fisher Bentley)
   (2)Self-action,InteractionとTransaction 
   (3)記号の進化・発展の過程
   (4)Transactionとしての言語
2.デューイの言語哲学
   (1)デューイの哲学的姿勢と方法
   (2)デューイの言語理論の基本原理
   (3)言語の道具説と意味の使用説
第3節 D.デイヴィッドソン(Donald Davidson)の解釈理論
   1.意味理論の二つのアプローチ
   2.意味理論の真理理論
   3.クワインの根底的翻訳
   4.根底的解釈
第4章 教育における言語哲学的研究
 第1節 分析哲学の哲学的姿勢―言語論的転回―
 第2節 教育哲学会と分析哲学―もうひとつの教育哲学史―  
第3節 分析哲学の課題―限界と可能性―
第二部 「<表象>としての知識」批判
第5章 教育における<真理>と<知識>の言語論的研究
 第1節 <真理>概念の分析
   1.真理の意味と真理の評価
   (1)伝統的真理対応説への反駁
   (2)確実性の問題と真理の絶対性
   2.真理対応説の可能性
   (1)意味論的真理対応説
   (2)認識論的真理対応説
 第2節 言語行為としての知識
   1.認識行為における知識と了解
   2.知識の成立要件
(1)知識論の中心問題
(2)正当な根拠をもった異な信念(Justlfied True Belief)
(3)分析の現在
3.言語行為としての知識
第6章 教育的認識における<説明>と<理解>
 第1節 科学的探究における<説明(explanation)>概念について
     ―C.G.へンペルとⅠ.シェフラーの<説明>概念の分析を
手掛かりとして―
   1.説明のための認識的条件
   (1)説明のための真理条件
(2)事象の根拠と信念の根拠
2.科学における説明の位置
(1)説明と予測
(2)下位概念としての説明
第2節 教育における<知識><説明><理解>
1.説明と知識・了解
(1)知識と了解
(2)説明と了解
(3)説明の諸相
2.科学的説明
(1)演繹的法則的説明
(2)帰納的統計的説明
(3)目的論的説明
3.結び―説明をめぐる諸問題―
(1)科学的説明モデルが示唆するもの 
(2)説明の語用論的側面
第7章 <知識>探究のジレンマ
 第1節 <メノンのジレンマ>と知識論的諸問題 
   1.<メノンのジレンマ>が示唆する問題
   2.<メノンのジレンマ>解消の試み
―事実の知識と概念の知識の峻別―
 第2節 探究の<外部性・内部性>
   1.<確実性(アルキメデスの点)の探究>と認識論的立場 
   2.<ジレンマ>から如何に抜け出すか
 第3節 科学哲学(メタ理論)の示唆するもの―ポストクーン的状況―
   1.科学哲学における<容認的見解> 
2.科学哲学における新たな論理の展開
(1)科学理論における観察の位置 
(2)科学理論と証拠の関連性
(3)科学研究における合理性と相対主義 
(4)クーンの挑戦(<共約不可能性>概念)
(5)<合理性>概念の変容
第8章 探究の<外部・内部>批判
 第1節 教育における<メノンのジレンマ>へのアプローチ
 第2節 探究の<無限性>
   1.探究の外部、あるいはメタ的視点批判
   2.教育の<神秘性>
―<教えること>と<学ぶこと>の間の<飛躍>―
   3.探究の<無限性>―クリプキ・ヴィトゲンシュタインの懐疑論―
エピローグ <アルキメデスの点>から<アルゴ船>へ
索引
著者松下晴彦 著
発行年月日1999年03月15日
頁数330頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1139-8