博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

幼児教育方法史研究

保育者と子どもの共生的生活に基づく方法論の探求

定価: 14,850 (本体 13,500 円+税)
本書は、子どもと保育者が共に生かされる幼児教育方法を求めて日本の幼児教育史を再考し、その手がかりが子どもと保育者の共生的な生活形態にあると提言した。
【1998年9月初版刊行】

【著者略歴】
田中まさ子(たなか まさこ)
1951年 神戸市生まれ
1973年 聖和女子大学教育学部幼児教育学科卒業
1975年 聖和女子大学教育学研究科幼児教育専攻修士課程修了
1983年 関西学院大学大学院文学研究科教育学専攻博士課程単位取得満期退学
1986年 聖徳学園女子短期大学講師
1996年 聖和大学で博士号取得(教育学)
現在 岐阜聖徳学園大学短期大学部教授

専攻 幼児教育学
目次を表示します。
序章 研究の目的
   1.研究の目的
   2.研究の方法
   3.研究の構成
第1章 近代幼児教育方法の受容と展開
 第1節 フレーベル恩物による教示的教育方法
   1.恩物の紹介・翻訳
    (1)恩物への傾注
    (2)『幼稚園』における恩物紹介
    (3)『幼稚園記』における恩物紹介
   2.恩物の使用の実際
   3.恩物の教育方法的意義
 第2節 『母の歌』におけるふり遊びへの注目
   1.『母の歌』の紹介・翻訳
   2.『母の歌』受容の二つの系譜
    (1)遊戯・唱歌の源流としての『母の歌』
    (2)保育者養成のテキストとしての『母の歌』
      1)広島女学校保母師範科における『母の歌』の導入
      2)クックの『母の歌』講義
   3.『母の歌』の教育方法的意義
 第3節 フレーベル主義の受容と子どもの表現
第2章 遊びによる誘導保育論の形成
 第1節 幼児教育ジャーナリズムにみる遊戯論
   1.幼児教育ジャーナリズムの役割と特色
   2.『婦人と子ども』にみる遊戯論
   3.『京阪神三市連合保育会雑誌』にみる遊戯論
   4.J.K.U.年報にみる遊戯論
 第2節 和田実の誘導保育論と遊戯的手工
   1.和田の幼児教育論にみる課題意識
   2.和田の感化誘導論
   3.誘導保育論の展開―遊戯的手工を中心に―
 第3節 保育日誌にみる幼稚園の遊びと表現活動
   1.甲賀ふじの進歩主義教育への理解
   2.「日誌」の概要―会集/恩物/自然科/遊戯/手工―
   3.「日誌」にみる遊びと表現活動
第3章 環境による間接的教育方法の創造
 第1節 幼稚園カリキュラムにおける子ども中心主義への動き
   1.進歩主義の受容とカリキュラム改造の動き
   2.広島女学校保母師範科附属幼稚園のカリキュラムと表現活動
   3.園児の手技帳にみる表現活動の広がりと限界
 第2節 芸術性による幼児教育
   1.幼児教育と大正期芸術教育運動
   2.倉橋惣三の芸術的子ども観
   3.倉橋惣三の芸術教育運動への関与
    (1)『コドモノクニ』出版とその背景
    (2)倉橋惣三と白秋の童心主義
    (3)倉橋惣三と岡本帰一
   4.倉橋惣三の芸術教育運動批判
 第3節 絵雑誌『コドモノクニ』の自由がにみる子どもの表現
   1.子ども向け雑誌の送り手と受け手
   2.調査の方法
   3.結果および考察
    (1)『コドモノクニ』の自由画入選・佳作児数およびその属性
    (2)入選・佳作のテーマ
    (3)画材
    (4)入選・佳作への選評
   4.表現の主体者としての子ども
 第4節 生活性による児童教育と子どもの創造性
   1.生活性に基づく表現活動の重視
    (1)「手技」批評を行う時期
    (2)「製作」を明言した時期
    (3)製作論を展開していく時期
    (4)製作論を保育指導計画において展開する時期
      1)誘導保育
      2)誘導保育論を具体化した保育案
      3)保育項目「製作」
   2.倉橋惣三の子どもの創造性理解
    (1)倉橋惣三の幼児教育における自発性・創造性
    (2)創造性偏重批判と感傷性の重要
 第5節 環境による間接的教育方法  
   1.子どもの主体性と保育者の教育的主体制
   2.倉橋惣三の「環境観」とその課題
   3.間接的方法の実践化
第4章 保育者と子どもの共存的生活に基づく幼児教育方法の探求
 第1節 戦後初期の幼稚園時間と教育方法
   1.倉橋惣三の幼稚園理解
    (1)学校教育の基礎としての幼稚園
    (2)「生活による幼稚園児教育」
   2.小川正通の幼稚園理解
 第2節 幼児教育における創造主義の展開
   1.戦後の幼児教育と創造美育協会
   2.宮武辰夫の実践と幼児画指導
    (1)異領域間の交差による子どもの絵の浮上
    (2)宮武辰夫とその時代
    (3)宮武武夫の指導の特色
      1)表現方法の拡充
      2)精神分析的視点の導入
      3)発達論的視点の紹介
      4)障害児の表現活動の指導
 第4節 保育者と子どもの共生的生活に基づく教育方法の探究
   1.幼児期の生活再考
    (1)幼児教育内容・方法における拡大主義と縮小主義
    (2)共生的生活への視点
   2.共生的活動としての表現活動
    (1)表現者としての保育者
    (2)他者の表現の受容
結語
初出論文一覧
付論 子どもの表現の育ちと文化
    Ⅰ.子どもの表現の育ちと他者の関与
    Ⅱ.子どもの表現の育ちと文化的環境
著者田中まさ子 著
発行年月日1998年09月30日
頁数430頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1099-5