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昭和初期社会認識教育の史的展開

定価: 13,750 (本体 12,500 円+税)
教科が存在しない昭和初期の社会認識教育の到達点を実際の授業作成の理論的基盤に着目して考察。教科としての根拠が問われている現在の社会科教育の本質を究明。

【著者略歴】
谷口和也(たにぐち かずや)
1966年 三重県に生まれる
1989年 広島大学教育学部卒業
1995年 博士(教育学)取得
1995年 広島大学大学院博士課程後期修了
1996年 岩手大学教育学部講師
目次を表示します。
序章 本研究の意義と方法
 第一節 研究主題
 第二節 本研究の特質と意義
 第三節 研究方法と本書の構成
第一章 昭和初期社会認識教育の源流
 第一節 明治・大正期の教育と昭和初期の社会認識教育
 第二節 大正自由教育運動の継承と批判
  一 大正自由教育運動の展開
  二 大正自由教育における授業方法の改善 
  三 昭和初期社会認識教育への理論的継承
  四 大正自由教育への批判
  五 大正自由教育と昭和初期の社会認識教育
 第三節 文部省による教育改革
  一 文部省初等教育行政の影響
  二 実業補習学校と公民科教授要綱
  三 文部省による郷土教育の推進
 第四節 諸外国からの影響
  一 ドイツ教育学の影響
  二 アメリカの新教育運動の影響
  三 ソビエトの教育の影響
 第五節 昭和初期社会認識教育の源流
第二章 初等公民科としての社会認識教育
 第一節 初等公民科としての社会認識教育の展開
 第二節 愛知県第一師範学校附属小学校の「郷土科」
  一 愛知附小における「郷土科」の展開
  二 社会科的内容の独自性
  三 愛知附小「郷土科」に見られる中等公民科の影響
  四 愛知附小「郷土科」の社会科的内容の性格
 第三節 徳島県師範学校附属小学校の「郷土教育課程」
  一 徳島附小における「社会科」の設置
  二 徳島附小「郷土教育課程」の全体構成と「社会科」の位置づけ
  三 初等公民科としての「郷土教育課程」の実際
  四 徳島附小「郷土教育課程」の性格
 第四節 明石女子師範学校附属小学校の「郷土教育カリキュラム」
  一 及川平治の活動と「郷土教育カリキュラム」
  二 郷土教育に対する批判と「郷土教育カリキュラム」の作成
  三 及川平治の「郷土教育カリキュラム」にみられる社会認識教育論
  四 明石附小における郷土教育の実際
  五 明石附小「郷土教育カリキュラム」の位置づけ
 第五節 歴史的意義
第三章 郷土地理科としての社会認識教育
 第一節 郷土地理科としての社会認識教育の展開
  一 小田内通敏の郷土地理研究
  二 小田内通敏の郷土地理研究の論理 
  三 郷土教育連盟に与えた小田内理論の影響
 第二節 郷土科特設をめぐる議論と尾高豊作の「生活郷土」
  一 第二回郷土教育研究協議会における題材選択の問題
  二 尾高豊作の「生活郷土」の理論 
 第三節 志垣寛の郷土科学の体系
  一 志垣寛における郷土教育論の形成とその活動
  二 志垣寛の郷土科学の体系にもとづく郷土認識の論理
 第四節 郷土教育連盟「郷土学習指導方案」
  一 郷土を構成する要素の有機的関連としての郷土社会
  二 「郷土学習指導方案」に見られる社会研究の方法
 第五節 歴史的意義
第四章 生活綴方科としての社会認識教育
 第一節 生活綴方科としての社会認識教育の展開
 第二節 村山俊太郎の生活綴方教育実践
  一 綴方教育における村山俊太郎の位置づけ
  二 社会認識方法原理としての科学的綴方
  三 「山形地方の農村」に見られる社会認識の深化 
  四 実践「トマト日記」と「天神様のお祭」
 第三節 北方性教育運動の社会認識教育論的考察
  一 村山実践に見られる北方性教育の社会観・児童観
  二 北方性教育運動の理論にみられる社会認識教育としての限界
  三 北方性教育運動の展開と綴方カリキュラムの作成
 第四節 国分一太郎の「綴方指導系統案」
  一 国分一太郎の活動概要
  二 「生活指導のための綴方系統案」の発展
  三 国分一太郎の「綴方指導系統案」
  四 国分の「綴方指導系統案」の歴史的意義
 第五節 歴史的意義
第五章 直観科としての社会認識教育
 第一節 直観科としての社会認識教育の展開
  一 直観科としての社会認識教育
  二 奈良女高師附小の理論とその影響
  三 郷土教育の普及と社会認識教育への発展
 第二節 東京女子高等師範学校附属小学校の「社会科」
  一 東京女高師附小の「社会科」設置までの経緯
  二 東京女高師附小における「社会科」の性格
  三 東京女高師附小における「社会科」の実際
  四 東京女高師附小「社会科」のその後の展開
 第三節 浅草富士小学校の合科教育
  一 富士小学校の合科教育の展開
  二 文化創造をめざす低学年合科教育
  三 ドクロリーの理論にもとづいた低学年合科教育の再構成
  四 「富士の合科教育」と郷土教育
  五 小林節藏の都市カリキュラム構想 
  六 富士小学校の「カリキュラム」の歴史的意義
 第四節 歴史的意義
第六章 社会研究科としての社会認識教育
 第一節 昭和初期における社会認識教育の到達点
 第二節 峯地光重の「新郷土教育」
  一 峯地光量の教育理論の変遷
  二 社会研究をめざす郷土教育
  三 上灘小学校における郷土教育の指導構想
  四 社会研究をめざす郷土教育の実際
  五 郷土教育における峯地の位置づけ
 第三節 鈴木道太の「論文学習」
  一 綴方教育における鈴木道太の位置づけ
  二 鈴木道太「論文学習」に見られる社会認識教育論
  三 歴史的意義
 第四節 昭和初期社会認識教育と生活教育論争
  一 留岡清男による社会研究科構想 
  二 留岡清男の発言と「生活教育論争」への経緯
  三 昭和初期社会認識教育の諸問題に「社会研究科」構想が提唱する
    もの
 第五節 山下徳治のカリキュラム構想
  一 山下徳治の活動概要
  二 山下徳治のカリキュラム批判
  三 山下徳治のカリキュラム構想
  四 山下徳治のカリキュラム構想の歴史的意義
 第六節 歴史的意義
第七章 昭和初期社会認識教育と戦後社会科への影響
 第一節 昭和初期社会認識教育のその後
  一 綴方教師弾圧事件と民間教育運動の動き
  二 郷土愛育成の郷土教育
  三 文部省による合科・綜合科計画と国民科の成立
 第二節 昭和初期社会認識教育と戦後社会科への影響
  一 戦後社会科成立までの概要
  二 成立期社会科実践に見られる昭和初期社会認識教育の影響
  三 昭和初期社会認識教育から見た成立期社会科の検討の必要性
終章
著者谷口和也 著
発行年月日1998年03月15日
頁数464頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1079-7