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明治前中期における日本的レトリックの展開過程に関する研究

定価: 15,400 (本体 14,000 円+税)
国語(言語)教育の視点から成されたレトリック(修辞学)の研究。明治前中期における「翻訳レトリック」の様相を明らかにし、表現教科書への活用の実態を究明。

【著者略歴】
有沢俊太郎(ありさわ しゅんたろう)
昭和22年1月 富山県中新川郡上市町に生まれる。
昭和44年3月 東京教育大学教育学部卒業。
昭和50年5月 東京教育大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。
職 歴 東京教育大学教育学部助手、文教大学教育学部講師、富山大学教育学部助教授などを経て、
現在 上越教育大学学校教育学部教授(国語教育学専攻)。
目次を表示します。
序 論 研究の目的、課題、方法
第1部 明治前期における翻訳レトリックの成立―18・19世紀の英国のレトリックの理解
 序 章 明治前期における英国のレトリック概観
 第一章 19世紀の百科事典にあらわれた英国的論理の理解―Information for the people(Rhetoric and Belles-Lettres)におけるcompositionとtasteの訳出
  第一節 はじめに
  第二節 テキストについて
  第三節 翻訳の様相
   1.構成(tasteの扱い方について)
   2.英国的論理の理解
    (1)compositionの訳出 (2)tasteの訳出
  第四節 まとめ
 第二章 H.ブレアのSENSEの理解―Lectures on Rhetoric and Bells Lettres)の訳述
  第一節 はじめに
  第二節 訳述の様相
   1.構成(訳述箇所について)
   2.Public Speakingの要訣の訳述(Senseの訳出を中心に)
    (1)原理(要訣1)について
    (2)創構(要訣2.3)について
    (3)語格(要訣4)について
  第四節 1819年本の役割―ブレアのレトリックの本質的理解
   1.senseの訳出
   2.1819年本(テキスト3)の性格と役割
  第五節 まとめ
 第三章 British Elocutionary Movementの理解と活用―A.M.Bell,Bel's Standard Elocutionistの訳述
  第一節 はじめに(原書の性格)
  第二節 テキスト
  第三節 訳述の様相
   1.構成(訳述箇所について)
   2.elocutionの理解と活用
    (1)発音・発声に関する語の訳出
    (2)語例・文例の扱い、図表の作成法
  第四節 まとめ
 第四章 A.ベインのFigures of Speech論の理解―今村長善『文章哲学』における詞姿論(「文趣論」)の性格
  第一節 はじめに
  第二節 テキストについて
  第三節 記述の様相
   1.構成(詞姿形成の原理について)
   2.Figures of Speech(表現技法)各論の記述
    (1)隠喩論
    (2)反対格論
    (3)REMAINING FIGURES OF SIMILARITY(SYNECDOCHE)の問題
  第四節 まとめ
 第五章 高田早苗における英国レトリックの理解―『美辞学』(前篇)にみられるA.ベインとH.スペンサーの引用
  第一節 はじめに
  第二節 『美辞学』の構成と引用の実態
  第三節 『美辞学』(前篇)にみられるA.ペインとH.スペンサーの引用
   1.「嗜好」についてのA.ベインの引用(第二章)
    (1)引用部と原文との比較 
    (2)引用部と前後の文章との関係(第四段落の内部について)
   2.「修飾」(対照法)とその原理についてのH.スペンサーの引用(第十一章、第十六章)
    (1)引用部と原文との比較
    (2)引用部と前後の文章との関係
   3.文体についてのH.スペンサーの引用(第十三章)
    (1)引用部と原文との比較
    (2)引用部と前後の文章との関係
  第四節 まとめ
 終 章 翻訳レトリックの性格
第2部 明治中期における実践レトリックの性格
 序 章 翻訳レトリックの展開(実践レトリックの調査)
  第一節 時代
  第二節 演説教科書、作文教科書の調査
 第一章 演説レトリックの実態
  第一節 言語論理主義(Ⅰ) 
   1.小学校における学習内容
    (1)繋ぐ単位
    (2)繋ぐ方法
   2.中学校における学習内容
    (1)繋ぐ単位
    (2)繋ぐ方法
  第二節 事実主義(Ⅱ)
   1.小学校における学習内容
   2.中学校における学習内容
    (1)表現技法の原理(A)
    (2)各種の表現技法―詞姿形成法(B1)
    (3)各種の表現技法―発音・発声法(B2)
 第二章 作文レトリックの実態
  第一節 言語論理主義(Ⅰ)
   1.尋常小学校における学習内容
    (1)繋ぐ単位
    (2)繋ぐ方法
   2.高等小学校における学習内容
    (1)繋ぐ単位
    (2)繋ぐ方法
   3.中学校における学習内容
    (1)繋ぐ単位
    (2)繋ぐ方法
  第二節 事実主義(Ⅱ)
   1.尋常小学校における学習内容
    (1)実物を見て書く学習 
    (2)絵(出来事)を見て書く学習
    (3)事実(抽象的な事実)を書く学習
   2.高等小学校、中学校における学習内容―事実らしいものを吟味しながら書く学習
  第三節 新表現技法主義(Ⅲ)
   1.尋常小学校における学習内容
    (1)表現技法の原理(A)
    (2)各種の表現技法―詞姿形成法(B1)
   2.高等小学校における学習内容
    (1)表現技法の原理(A)  
    (2)各種の表現技法―詞姿形成法(B1)
   3.中学校における学習内容
    (1)表現技法の原理(A)
    (2)各種の表現技法―詞姿形成法(B1)
 第三章 題の設定・操作による作文学習―三つの主義にかかわる学習
  第一節 言語論理主義(Ⅰ)
   1.尋常小学校の場合
   2.高等小学校の場合
   3.中学校の場合
  第二節 事実主義(Ⅱ)
   1.尋常小学校の場合
   2.高等小学校の場合
  第三節 新表現技法主義(Ⅲ)
   1.尋常小学校の場合
   2.高等小学校の場合
  第四節 まとめ
 終 章 実践レトリックの性格
結 論 日本的レトリックの展開過程

あとがき
参考資料
参考文献目録
著者有沢俊太郎 著
発行年月日1998年01月15日
頁数456頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1065-0