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ドイツの中等教育における物理生徒実験法の発展過程に関する研究

定価: 16,500 (本体 15,000 円+税)
本書はドイツの中等学校における物理生徒実験法の発展過程を動的・全体的に辿ることによって、その特質及び「発見学習」における生徒実験のあり方を論ずる。

【著者略歴】
柴 一実(しば かずみ)
1951年 岡山県に生まれる
1981年 広島大学大学院教育学研究科博士課程後期単位修得退学
1994年 博士(教育学)
現在 広島大学学校教育学部助教授
目次を表示します。
序章 研究目的と研究方法
 第1節 研究目的と先行研究の概要
 第2節 研究方法と研究の視点
第1章 物理生徒実験法の発展とその社会的・教育的背景
 第1節 物理生徒実験の起源とその発展 
  1.物理生徒実験の起源
  2.物理生徒実験の発展
 第2節 物理生徒実験法の発展の社会的背景 
  1.19世紀から20世紀初頭のドイツにおける経済の発達
  2.物理学及びそれを応用した技術の発達
  (1)熱力学と蒸気機関・内燃機関等の発達 
  (2)光学と光学器械の発達 
  (3)電磁気学と電気工業の発達
  (4)工学の発展に寄与する物理学者
  3.大学における実験室の発達
  4.専門学会,各種協会等の創設
 第3節 物理生徒実験法の発展の教育的背景
  1.19世紀のドイツにおける中等学校の教育改革
  2.19世紀末葉における9年制中等学校の同格化運動
  3.9年制中等学校の同格化運動においてドイツ技術者協会の果たした
    役割
  4.19世紀から20世紀初頭における物理教育の変容
第2章 卓越した物理生徒実験推進者の出現
 第1節 シュヴァルベと物理生徒実験
  1.シュヴァルベの経歴
  2.シュヴァルベの自然科学教育観
  (1)自然科学の教育的意義 
  (2)自然科学教育の一方法としての「小旅行」
  3.物理生徒実験の理念・内容・方法
  4.簡易実験の導入
  5.シュヴァルベの功績
 第2節 H.ハーンと物理生徒実験
  1.H.ハーンの経歴
  (1)H.ハーンの年譜 
  (2)H.ハーンの出版物 
  2.H.ハーンの物理教育観と生徒実験の実施
  (1)物理教育における生徒実験の位置づけ
  (2)一斉形態による物理生徒実験の実施 
  (3)生徒実験用器械・器具の製作と生徒実験例
  3.「織り合わせ方式」の導入
  4.「多面的学習方式」の導入
  5.簡易物理実験の集大成
  6.H.ハーンの功績
 第3節 ノアークと物理生徒実験
  1.ノアークの物理教育観と生徒実験の実施
  (1)物理教育の教育的意義
  (2)物理教材の選択と配列
  (3)物理生徒実験の取り扱い
  (4)物理生徒実験の実施 
  2.翻訳書及び生徒実験書の出版
  (1)翻訳書の出版 
  (2)生徒実験書の出版
  3.ノアークの功績
第3章 ノアークの物理生徒実験書とH.ハーンの簡易物理実験書の出現
 第1節 ノアークの物理生徒実験書
  1.ノアークの『物理生徒実験入門書』の内容
  (1)ノアークの物理生徒実験に対する見解
  (2)『物理生徒実験入門書』の内容構成 
  (3)物理生徒実験例
  2.1890年代から1900年代のドイツにおける物理生徒実験例及び生徒
    実験書
  (1)1891年のベルリンの王立実科ギムナジウムの物理生徒実験例 
  (2)1891年のポシュケによる物理生徒実験例 
  (3)1905年のノアークの実験書『物理生徒実験のための課題』
  (4)1909年のH.ハーンの実験書『物理生徒実験ハンドブック』
  3.ノアークの実験書のドイツ国内での評価
  4.物理生徒実験書の出現と実験の普及
 第2節 H.ハーンの簡易物理実験書
  1.シュヴァルベの簡易実験構想
  2.H.ハーンの簡易実験書出版の経緯
  3.H.ハーンの簡易実験に関する見解
  4.H.ハーンの簡易物理実験書の内容
  5.簡易実験書の発達―シュヴァルベからH.ハーンへ
第4章 ドイツ自然科学者・医師協会による「メランの提案」の出現とその
    影響 
 第1節 ドイツ自然科学者・医師協会の果たした役割
  1.1905年のメランの会議に至る経緯
  2.メランの会議の内容
  (1)メランの会議の構成メンバー及び教育一般に関する提案 
  (2)「メランの提案」のうち物理教育に関する事項
  3.メランの会議以降の動向
  (1)1906年のシュトゥットガルトの会議
  (2)ドイツ数学・自然科学教育委員会の結成
 第2節 各邦教授プランに見られる「メランの提案」の影響
  1.バイエルンの高等実科学校の教授プラン
  (1)第Ⅳ学年から第Ⅸ学年までの物理の教授目標
  (2)第Ⅳ学年から第Ⅸ学年までの物理の教授内容
  (3)バイエルンの教授プランに対する見解 
  2.バーデン及びヴュルテンベルクの教授プラン
  3.プロイセンの教授プラン
  (1)1901年の教授プラン 
  (2)1909年の高等女学校の教授プラン 
  (3)1911年の物理及び化学の完熟試験に関するプロイセン文部省令
  4.教授プランに見られる物理生徒実験と「メランの提案」
第5章 物理生徒実験普及のための実験室整備と現職教育
 第1節 物理生徒実験室の整備
  1.実感調査による物理実験室の整備状況
  2.各中等学校における生徒実験室の整備状況
  (1)ベルリンのフリードリッヒス実科ギムナジウムの場合
  (2)ハンブルクのウーレンホルスト高等実科学校の場合
  (3)ブレーメンの高等実科学校の場合
  (4)ベルリンの王立カイザー・アウグスタ・ギムナジウムの場合 
  3.物理実験室の整備・費用に関するH.ハーンの見解
  (1)生徒実験室の整備 
  (2)生徒実験室に関する費用
 第2節 大学拡張を中心とした現職教育と物理生徒実験の振興
  1.ドイツにおける大学拡張運動と現職教育
  2.イエナ大学における自然科学の現職教育とシェーファーの活躍
  (1)シェーファーの年譜 
  (2)シェーファーの教育活動
  3.ドイツ各地における大学を中心とした自然科学の現職教育
  (1)1891年の自然科学休暇コース
  (2)1892年の自然科学休暇コース
  (3)1896年の自然科学休暇コース
  (4)1898年の自然科学休暇コース
  (5)1899年の自然科学休暇コース
  (6)1900年の自然科学休暇コース
  (7)1901年の自然科学休暇コース
  4.アルテン・ウラニア等における現職教育
  (1)ベルリンのアルテン・ウラニアにおける現職教育
  (2)現職教育に対する物理教育関係者の見解 
  (3)現職教育に対する民間団体の要望とベルリンの中央インスティトゥートの設置 
第6章 各種実態調査が示す物理生徒実験の発展
 第1節 各種実態調査の概要
  1.1897年のポシュケによる実態調査
  2.1904/05年のルドルフによる実態調査
  3.1905/06年のドイツ自然科学者・医師協会による実態調査
  4.1909年のノーレンベルクによる実態調査
  5.1913年のブリュッシュによる実態調査
 第2節 各種実態調査が示す物理生徒実験の発展 
終章 ドイツにおける物理生徒実験法の発展過程の特質とその位置づけ 
 第1節 ドイツにおける物理生徒実験法の発展過程に見られる特質
  1.物理生徒実験の組織上及び形態上の変容
  2.物理生徒実験の教育的意義と価値
  3.物理生徒実験の発展を促した社会的・教育的背景
  4.物理生徒実験書の出現とその発展
  5.物理生徒実験室の整備と現職教育の導入及び展開
  6.簡易物理実験の導入とその発展
 第2節 ドイツにおける物理生徒実験法の位置づけ 
  1.フィッシャーによるドイツの物理生徒実験法の位置づけ
  2.世界の物理生徒実験の実施状況
 第3節 総合的考察 
補章 ドイツの物理生徒実験がわが国に与えた影響
 第1節 自然科学教育の先駆者達の目に映ったドイツの物理生徒実験 
  1.亀高徳平の場合
  (1)亀高の経歴
  (2)亀高の欧米留学 
  (3)亀高の『理科視察・世界一週記』(大正元年)に見られるドイツの状況 
  2.棚橋源太郎の場合
  (1)棚橋の経歴
  (2)棚橋の欧米留学 
  (3)棚橋の『改訂新理科教授法』(大正7年)に見られるドイツの状況
  3.大島鎮治の場合
  (1)大島の経歴
  (2)大島の欧米留学
  (3)大島の『欧米輓近の学校教育と理科教授』(大正6年)に見られるドイツの状況 
  4.亀高・棚橋・大島の目に映ったドイツの物理生徒実験
 第2節 森総之助の実験書に見られるH.ハーンの影響
  1.森の『物理学講義実験法』(明治44年)の出版
  2.『物理学講義実験法』に示された内容
  3.『物理学講義実験法』とH.ハーンの『簡易物理実験』の内容比較
人名・事項索引
著者柴一実 著
発行年月日1996年02月28日
頁数360頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-0959-3