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石森延男研究序説

定価: 7,700 (本体 7,000 円+税)

戦後国語教育の立役者とされる石森延男は、「満洲」から文部省に招聘され戦時下の国定教科書を編纂した人物でもあった――教科書編纂者の視角から描く国語教科書史。

【著者略歴】
宇賀神 一(うがじん はじめ)

1988年栃木県生まれ。神戸大学大学院人間発達環境学研究科修了。
博士(教育学)。現在、神戸教育短期大学講師。

主要著書および論文
「国定教科書編纂過程にみる国語教育史上における石森延男の位置」日本教育史研究会編『日本教育史研究』第36号、2017年8 月。
「石森延男と第4期国定国語教科書――『満洲教材』の成立過程」全国大学国語教育学会編『国語科教育』第88集、2020年9 月。
『近現代日本教員史研究』(共著)風間書房、2021年12月。
目次を表示します。
序章
  1 石森延男をめぐる歴史的研究の意味
  2 先行研究の検討
  3 本書の方法と特徴
  4 構成と概要

第Ⅰ部 国定国語教科書編纂前史

第一章 国語教育者としての出発点―東京高等師範学校
 第一節 東京高等師範学校への進学
  1 東京高等師範学校の教育課程
  2 垣内松三への師事
 第二節 東京高等師範学校における課外活動
  1 大塚講話会への参加と演劇への着目
  2 『校友会誌』の編纂と作品の執筆
 第三節 東京高等師範学校卒業後の活動
  1 愛知県成章中学校における教育実践
  2 香川県師範学校における教員養成

第二章 『満洲補充読本』の編纂過程
 第一節 磯田一雄の石森理解
  1 『満洲補充読本』の全体像と石森の役割
  2 磯田の課題と本書の分析視角
 第二節 石森の仕事の概要
  1 『満洲補充読本』の編纂スタッフ
  2 石森の編輯部赴任と仕事の全景
 第三節 『満洲補充読本』の分水嶺としての一九三〇年

第三章 石森延男の思想と『満洲補充読本』の性格
 第一節 初版と石森の思想
  1 「教育の淵源」としての児童愛
  2 中国人に対する蔑視
 第二節 第一次改訂版『満洲補充読本』の特徴
  1 感情・感覚に訴えかける叙情表現の重視
  2 「植民思想の善導」
 第三節 方法上の試行
  1 教材としての口絵
  2 教材のリズムと生活化
  3 演劇活動への発展
  4 音楽・美術方面への発展的活用
  5 調べ学習による語彙の拡張
 第四節 「満洲」の国語教育実践上における『満洲補充読本』の位置

第Ⅱ部 戦前・戦中の国定国語教科書編纂

第四章 第四期国定国語教科書の教材執筆者としての石森延男
 第一節 石森教材の収録経緯
  1 石森と「サクラ読本」の関係をめぐる課題
  2 「サクラ読本」の編纂過程
  3 編纂上の困難と石森への期待
 第二節 石森教材の全体像と原案の所在
  1 四つの石森教材
  2 教材の原案―『原文対照 国語読本の教材』
 第三節 石森原案の特徴
  1 「大連だより」の設定と構成―「満洲」のリアリティ
  2 叙情表現の重視
  3 在満日本人の登場
 第四節 「サクラ読本」教材としての成立過程
 1 叙情表現の削除―「満洲」の地理的教材への環流
 2 「満洲」の「自己同一化」

第五章 戦時体制と石森延男の文部省招聘
 第一節 国民学校用教科書の編纂過程
 第二節 図書監修官の陣容
  1 国民学校発足前後における監修官の動態
  2 「アサヒ読本」の編纂者たち
 第三節 石森の招聘理由
  1 合科主義教育実施に向けた綜合教科書編纂の要求
  2 「東亜新秩序」理念の教材化
  3 日本語拡散のための教科書の編纂

第六章 第五期国定国語教科書の石森延男の執筆教材
 第一節 石森教材の全体像と傾向
 第二節 軍部の要求と石森教材の軍事色
  1 「国民学校教科書ニ対スル陸軍要望事項」との関係
  2 「雪合戦」にみる潜在的な軍国主義
 第三節 「東亜」教材と「民族ナショナリズム」
  1 日本人の優越的地位と「協和」
  2 「東亜」教材の性格
  3 国民精神の涵養と叙情表現の復活
 第四節 綴方教材の導入

第Ⅲ部 戦後教育改革期の国定国語教科書編纂
第七章 終戦直後の国語教科書政策と石森延男―「墨ぬり教科書」「暫定教科書」
 第一節 敗戦処理と監修官の動態
 第二節 「アサヒ読本」への「墨ぬり」と石森教材の処遇
  1 「墨ぬり」の全体像
  2 石森教材の「墨ぬり」状況
  3 「墨ぬり」の具体相
 第三節 「暫定教科書」の編纂過程における石森の仕事
  1 一九四六年度用教科書の編纂過程
  2 前期用にみる「墨ぬり」を免れた石森教材の行方
  3 後期用における教材の刷新

第八章 第六期国定国語教科書と石森延男
 第一節 編纂上の課題と石森の役割
 第二節 石森教材の全体像と旧教科書との関係
  1 石森教材の概要
  2 「アサヒ読本」からの継承教材
  3 「暫定教科書」後期用との対応関係
 第三節 石森教材の特質
  1 演劇教材の教育的効用への注目
  2 作文教材の積極的採用
  3 教材の教化性―「いいこ」の光芒と呪縛

終章
 1 石森における戦前と戦後の連続と断絶―「難問」への解答
 2 今後の課題
主要参考文献
あとがき
〔資料編〕石森延男著作目録
索引
著者宇賀神一 著
発行年月日2022年02月15日
頁数322頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2410-7

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