中世ドイツ文学における恋愛指南書
文学ジャンルとしての「ミンネの教訓詩」の成立・発展
定価:
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序
1.「ミンネ(minne)」という語について
2.「ミンネとは何か」…文学史的問題設定
3.文学ジャンル「ミンネの教訓詩」の可能性(1)…「ミンネの弁論」研究の視座から
4.文学ジャンル「ミンネの教訓詩」の可能性(2)…受容史理論の視座から
5.本書で扱う作品について
第1部 文学ジャンル「ミンネの教訓詩」の形式的特徴
第1章 アンドレアス・カペルラヌス:‘De amore'
1.作者と作品の成立について
2.‘De amore'におけるアモールの論理的分析・記述
3.討論形式とアレゴリー
4.アモールの定式化
5.‘De amore'から「ミンネの教訓詩」へ
第2章 『秘密の使者』
1.テクスト・成立年代
2.前後半部分の内容的差異
3.「恋文」か「助言書」か
4.宗教的「教訓詩」の可能性
第3章 ハルトマン・フォン・アウエ:『哀歌』
1.作品の構成と基本コンセプト
2.討論における役割分担
3.ミンネの心理学
4.「冊子」としての再定義
第4章 トマジン・フォン・ツイルクレーレ:『異国の客』
1.作者とその背景
2.一般教書
3.『異国の客』におけるミンネの取り扱い
4.テクストと受容
第5章 「ヴィンスベッケン詩」
1.「ヴィンスベッケ」
2.「ヴィンスベッキン」
3.「教訓詩」としての特徴
第6章 デア・シュトリッカー:『婦人の名誉』
1.作品の成立年代の文学史的考察
2.作品の主題
3.mareの複合体としての「冊子」
第7章 ウルリヒ・フォン・リヒテンシュタイン:『婦人の書』
1.『婦人奉仕』と『婦人の書』
2.史学的詩人研究
3.『婦人の書』における討論の機能
4.真剣さと滑稽さ
小括:中世盛期における三つのミンネの教訓詩の抽出
1.ミンネに対する親近性
2.「冊子」形式
3.ミンネの教訓詩における通時性と共時性
第2部 「ミンネの教訓詩」の内的構造
第1章 ミンネにおける奉仕の理念
1.ミンネ概念の核
1-1.「喜びと苦悩」
1-2.「皇帝のトポス」と「奉仕」
1-3.ミンネの諸相と性愛
2.奉仕の理念
2-1.「騎士」
2-2.美徳のカタログと「分別」
2-3.共同体秩序における「この世の喜び」
第2章 ミンネにおける女性の理想化
1.「ご婦人」の理念
1-1.地上の天使としての「ご婦人」
1-2.「名誉の導き手」の美
1-3.「ご婦人」と「女性」
1-4.「喜び」をもたらす存在としての「ご婦人」
2.ミンネと官能性
2-1.「魅惑的な場所(locus amoenus)」
2-2.性的放埓・「娯楽」
2-3.ミンネの賞味期限
3.ミンネと結婚
3-1.(女)性と結婚
3-2.中世盛期文学における結婚の描写
3-3.『婦人の書』における女性の五様態
3-4.ミンネの「場」としての結婚
第3章 「ミンネの教訓詩」における理想と現実、伝統と革新
1.受容者の射程
1-1.作者と作品の距離感
1-2.批判者との対決
1-3.「世間」
1-4.宮廷の「紳士淑女」
2.〈批判の書〉としてのミンネの教訓詩
2-1.問題の所在を確認する機能
2-2.過去との対比
2-3.世相批判
3.〈指南書〉としてのミンネの教訓詩
3-1.ミンネの実効性
3-2.理想郷
3-3.理想と現実
総括:ミンネの教訓詩の文学史的意義
1.ミンネの教訓詩の形式的特徴と内的構造
2.ミンネと女性
あとがき
略記一覧
文献リスト