「社会研究科」による社会科授業の革新
社会科教育の現在,過去,未来
定価:
1,980
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まえがき
Ⅰ 社会研究科のめざす子ども像
1 学んだ知識から視点を転換して新たな問いを生み出し,類似の事象を検討できる子ども
2 「現状研究」から深い問いを生み出し,次の研究ステップを模索できる子ども
3 社会認識を踏まえ条件思考に立って,開かれた社会的判断ができる子ども
4 学び方を活かして追究し,身近な事象の中に複雑な関係を発見できる子ども
5 社会研究の多様性と社会研究科の広がり
Ⅱ 社会研究科の輪郭
1 歴史的に見た社会研究科の位置
(1) 柔構造としての新教科社会科の誕生とその出発
① 柔構造としての新教科社会科の誕生
② 新教科社会科の目的・内容・方法
③ 9月の2学期からのスタートとなった社会科の授業
(2) 社会科の変遷と方法原理の転回
① 社会研究科という観点から見た初期社会科の問題点
② 社会科の変質―「問題解決」から「理解」への方法原理の転回
③ 今次の小学校社会科学習指導要領と社会研究科への芽
④ 社会科教育研究者による社会研究科をという主張とその概要
2 「社会研究」を方法原理とする社会研究科
(1) 教科を成り立たせる方法原理とは何か
(2) 選択肢が広がった社会科を成り立たせる方法原理
(3) 方法原理としての「社会研究」とは
① 社会研究科の目標…社会的事象について熟慮できる市民にふさわしい資質の育成
② 社会研究科の内容…「社会の枠組み」の構築と複眼的な視点からの追究を可能にする内容
③ 社会研究科のカリキュラム…入れ子型カリキュラム
④ 社会研究科の方法…視点を転換し,追究し続けられる学習方法
Ⅲ 社会研究科を支える発達論と学習論
1 社会研究科を支える発達論
(1) 「合発達論」
(2) 「超発達論」
(3) 「発達の最近接領域」論
(4) 「発達の最近接領域」論と社会研究科
2 社会研究科を支える学習論
(1) 学習観(論)の転換
(2) 問題解決学習の問題点
① 問題解決学習の定式化とその後の動向
② 問題解決学習の問題点
③ 問題解決学習で子どもは何を研究できているか
④ 「社会研究」の観点から見た問題解決学習の縮小化とその論理の転換
3 開かれた学習を促し「追究」を「研究」に転轍するとともに“総合的な社会研究”にこだわらない「問題構成学習」の必要性
(1) 構築が求められる「問題構成学習」
(2) 「問題構成学習」のポイント
Ⅳ 社会研究科としての授業の構成方法
1 学習内容の選択
(1) 解釈視点を二つ立てての内容選択
① 中学校社会科の場合
② 小学校社会科の場合
(2) 人物を二人立てての内容選択
(3) 事象を2個用意しての内容選択
2 学習過程の組織化
(1) 学習問題の設定―常識知の世界からの出発
(2) 学習問題の再構成―並立型
① 並立総合型
② 並立転換型
(3) 学習問題の再構成―包摂型
(4) 授業のオープンエンド化
① 授業をオープンエンド化する理由
② オープンエンド化の二つの方向
3 複数個の論理の実現過程としての社会研究科の授業
Ⅴ 社会研究科としての授業の実際
1 小6歴史学習「紫式部と平安時代」
(1) 社会研究科の授業としての条件
(2) 学習指導案
(3)“協働する学び”と“挑戦する学び”の観点からの学習指導案の修正―子どもが挑戦しやすいように修正した包摂型学習問題
(4) 札幌市立緑丘小学校での授業の実際
(5) オープンエンド化の手法
2 小3地域学習「スーパーマーケットのひみつをさぐろう」
(1) 社会研究科の授業としての条件
(2) 学習指導案
(3) 授業の実際
① 山場の授業の位置と意味
② 視点取得経験の発展
③ 視点の切り替えを促す仮説的推論の有効性
④ 学習問題の再構成―並立転換型学習問題
⑤ 経済概念の深化に向けてのオープンエンド化
3 中3公民学習「市町村合併」
(1) 社会研究科の授業としての条件
(2) 学習指導案(授業計画書)
(3) 授業の実際
① 通常は一つしか立てられていない学習問題
② 学習問題の再構成―並立総合型学習問題
③ 「社会の変化」と「財政事情」の二大要因からの社会研究
④ “社会研究”に立つ生徒の未来予測―オープンエンド化
⑤ 未完の社会研究
⑥ ディベート学習で展開すると
Ⅵ 今後の課題―「資質育成型」社会研究科の授業設計
1 意思決定を「経験する学習」から「対象化する学習」へ
2 求められる方法論の構築
3 文字通りの「対象化」の方法と意思決定の「多層化」の方法
(1) 対象化の方法
(2) 多層化の方法
① 小学校の場合
② 中学校・高等学校の場合―意思決定を繰り返す方略と選択肢発見・構築の方略
4 小学校段階でも可能な政策の順位づけ(ランキング)による社会的判断の重層化
あとがき